米国ルイジアナ州選出の下院議員クレオ・フィールズ氏が、エヌビディア(NASDAQ: NVDA)株を50万ドル超の規模で売却したことが明らかになった。この取引は2025年2月5日に実行されたが、報告は5週間遅れの3月14日となり、透明性の欠如が指摘されている。
フィールズ氏は金融サービス委員会に所属し、経済や規制に関する機密情報を得られる立場にある。彼の売却後、エヌビディア株は3.34%上昇したが、市場ではそのタイミングに疑念が向けられている。2025年に彼が開示した唯一の株取引でもあり、総額は75万ドルに達した。
エヌビディア株は近年のAIブームで急騰し、議員の間でも活発に取引されてきたが、2025年に入ってからは売却が相次いでいる。市場全体の不安要因に加え、同社の空売り比率も上昇し、今後の株価動向に注目が集まっている。
フィールズ議員のエヌビディア株売却と報告遅延が招く波紋

米国下院議員クレオ・フィールズ氏が、エヌビディア(NASDAQ: NVDA)の株式を50万1ドルから100万ドルの範囲で売却したことが明らかになった。この取引は2025年2月5日に行われたが、報告は5週間遅れの3月14日となり、透明性の問題が指摘されている。議員による株取引の開示は法律で義務付けられているが、遅延報告が発覚するケースは後を絶たない。
フィールズ氏は下院金融サービス委員会のメンバーであり、市場動向や規制に関する機密情報に触れる機会が多い。この立場を踏まえ、市場では彼の売却タイミングに疑問の声が上がっている。事実、フィールズ氏の売却後、エヌビディアの株価は3.34%上昇しており、戦略的な取引だった可能性も考えられる。議員の株取引に対する監視が厳しくなる中、この件は今後の議会内での議論に影響を与えるかもしれない。
エヌビディア株とAIブーム 米議員の売却トレンドが示す兆候
エヌビディアは、人工知能(AI)関連の技術革新を背景に株価が急騰し、米議会関係者の間でも注目されてきた銘柄である。特に、ナンシー・ペロシ元下院議長をはじめとする議員の投資活動が報じられ、エヌビディア株は頻繁に取引されてきた。
しかし、2025年に入ってからは売却の傾向が強まっている。その背景には、エヌビディアのAIブームが以前ほどの成長を維持できないという見方がある。実際、同社の株価は年初から13%以上調整されており、短期的な市場心理は弱含んでいる。フィールズ氏の取引もこの流れの一環と考えられ、単なる個人的な売却ではなく、市場全体のトレンドを反映している可能性がある。
また、ドナルド・トランプ大統領の貿易関税政策や、中国系AI企業DeepSeek AIの台頭による市場の不安定要素も、エヌビディアの株価に影響を与えている。フィールズ氏の売却は、単に個人の投資判断というよりも、政治や経済の不確実性を反映した動きであるともいえるだろう。
株価下落と空売り比率の上昇 エヌビディアの今後を占う要素
エヌビディア株は2025年3月17日時点で119.52ドルまで下落し、前回の取引セッションから約2%の値下がりを記録している。さらに、年初来で見ると13%以上の調整が進んでおり、投資家の警戒感が強まっている。フィールズ氏の売却後、一時的な株価上昇はあったものの、全体としては下落基調にある。
市場では、エヌビディアに対する空売りが増加している。最新のデータによれば、同社の空売り比率は2週間ぶりに50%を超え、強気の投資家と弱気の投資家の間でせめぎ合いが続いている。これは、同社の次世代Blackwellチップに対する期待とともに、その成長性に対する不安も拡大していることを示している。
今後の株価動向には、マクロ経済要因が大きく影響する可能性がある。例えば、景気後退のリスクが高まる中、エヌビディアの業績が期待を下回れば、さらなる株価調整が起こる可能性もある。フィールズ氏の売却はこのような不透明感を反映した動きである可能性があり、今後のエヌビディアの株価推移を占う上で、一つの重要なシグナルとなるかもしれない。
Source:Finbold