NvidiaのGTC 2025カンファレンスが、同社の株価を左右する重要なイベントとなる可能性が指摘されている。著名アナリストのミンチー・クオは、次世代AIチップ「B300」やGB300 NVL72サーバーの生産計画、スケーリングの課題が市場の期待に応えられるかが焦点になると分析する。

B300はB200の後継として登場し、処理能力を50%向上させる見込みだ。また、ハイバンド幅メモリの大幅拡張により、データセンター向けの需要をさらに押し上げると考えられている。しかし、サーバーの供給遅延や地政学的リスクが株価上昇の障壁となる可能性も指摘されている。

2024年のGTCではジェンセン・フアンCEOがAIの変革的影響を強調し、市場に大きな反響を呼んだ。GTC 2025が同様の影響を与えれば、Nvidiaの株価は再び上昇基調に戻る可能性がある。ただし、市場の期待を満たせなければ、投資家の失望が売り圧力となることも否定できない。

GTC 2025の焦点 B300 AIチップとサーバー戦略の行方

Nvidiaの次世代AIチップ「B300」がGTC 2025で発表される見通しだ。B300はB200の後継として登場し、50%の性能向上が期待されている。さらに、ハイバンド幅メモリ(HBM)が288GBに拡張され、処理能力の大幅な向上が見込まれる。B300には「デュアルダイ(CoWoS-L)」と「シングルダイ(CoWoS-S)」の2種類があり、それぞれの特性に応じた用途が想定されている。

この新チップの生産スケジュールは2025年第2四半期に試験生産を開始し、第3四半期に本格的な量産に移る予定である。B300の登場により、データセンター市場の競争が一層激化することが予測される。しかし、NvidiaはB300の量産体制の確立と、既存のAIサーバーとの互換性をどのように確保するかが問われている。

さらに、サーバー市場では「GB300 NVL72」が注目されている。これはGB200 NVL72の代替モデルとされ、既存のラック構成や電力要件を維持することで、データセンターのアップグレードを容易にする狙いがある。GTC 2025では、B300とGB300 NVL72がどのように連携し、AIインフラの発展に寄与するのかが最大の焦点となるだろう。

Nvidiaの株価はGTC 2025で再浮上するのか

GTC 2025はNvidiaにとって株価の転換点となる可能性がある。過去の例では、同社の株価は主要なカンファレンスの発表内容に強く影響されてきた。2024年のCESでジェンセン・フアンCEOがAIの未来について語った後、Nvidiaの株価は最高値を更新したが、その後は変動を繰り返している。現在の市場では、GTC 2025が新たな成長の契機となるかどうかが注目されている。

一方で、投資家はB300の性能向上だけでなく、Nvidiaがスケーリング問題をどのように解決するかを見極めようとしている。特に、AIサーバーの生産拡大が計画通り進まなければ、市場の期待を裏切ることになりかねない。また、競合他社の動向も影響を及ぼす要素となる。Nvidiaは引き続きリードを維持しているが、AMDやGoogleなどが独自のAIチップを開発しており、競争の激化は避けられない。

株価の動向は、GTC 2025での発表内容と市場の反応次第で大きく変動する可能性がある。仮にNvidiaがB300の生産計画を明確に示し、AIサーバー市場における競争力を強調できれば、短期的な株価上昇の要因となるだろう。反対に、ロードマップが不透明なままだと、投資家の失望を招き、株価の下落につながるリスクもある。

地政学的リスクとAI市場の未来

Nvidiaの成長戦略において、地政学的リスクの影響は無視できない。特に、米中関係の緊張が続く中で、半導体市場における規制強化や輸出制限が、今後の事業展開に大きな影響を及ぼす可能性がある。Nvidiaはすでに中国向けの一部製品を制限されており、新たな規制が導入されれば、B300やAIサーバーの販売戦略にも変更を余儀なくされるだろう。

また、半導体サプライチェーンの問題も依然として懸念材料である。B300の生産には先端製造プロセスが不可欠であり、TSMCをはじめとする製造パートナーの能力が需要に追いつくかが重要な課題となる。過去の事例では、高性能AIチップの供給不足がデータセンター市場に影響を与えたことがあるため、B300が安定供給されるかどうかが市場の関心を集めている。

一方で、AI市場は今後も成長が続くと予測されており、特にエッジAIやAI PCソリューションが注目されている。GTC 2025では、NvidiaがAI PC向けの「N1X」や「N1」についても発表を行うとみられているが、エッジAI関連の新展開は限定的とされている。Nvidiaがどの市場を優先するかによって、今後の戦略の方向性が明確になっていくだろう。

Source:Benzinga