Appleが開発を進めるiPhone 17 Airに関し、完全ポートレス化の計画が中止されたとの報道が浮上した。当初、Appleは同モデルをポートレスにすることで、充電やデータ転送の完全ワイヤレス化を狙っていたが、EUのUSB-C規制との衝突を避けるため、この設計を断念したとされる。

また、6.9インチディスプレイの搭載も検討されていたが、過去に発生した「ベンドゲート」の問題を回避するため、この仕様も撤回された。代わりに、6.6インチの120Hz ProMotionディスプレイを採用し、A19チップとC1モデムを搭載する予定である。

Appleは近年、デザインの大幅な変更を控え、堅実な進化を続けている。ポートレス化や大画面化は技術的挑戦ではあるが、ユーザーの利便性や市場の反応を慎重に考慮し、過去の失敗を繰り返さない方針を取ったとみられる。

Appleが目指した完全ポートレス化 その背景と頓挫の理由

AppleはiPhone 17 Airにおいて、完全ポートレス化を実現する計画を立てていた。この構想は、ワイヤレス充電とデータ転送技術の進化を前提に、物理ポートを廃止することを目指したものだった。特に、Apple独自のMagSafe技術の強化によって、ケーブルを用いない充電環境の確立を狙っていたとされる。しかし、この計画は最終的に見送られることになった。

その大きな要因のひとつが、EUによるUSB-Cの義務化である。EUは2024年末までに、すべてのスマートフォンにUSB-Cポートを搭載するよう義務付ける規制を施行する方針を示している。AppleはこれまでLightningポートを使用してきたが、iPhone 15シリーズからUSB-Cへの移行を余儀なくされた。

この流れの中で、iPhone 17 Airの完全ポートレス化が実現した場合、EUの規制と正面から衝突する可能性があった。Appleが規制当局との対立を避けるため、ポートレス設計を断念したとみられる。加えて、完全ポートレス化が現実的な選択肢となるためには、ワイヤレス充電の普及と高速化が不可欠である。

しかし、現時点では有線接続と比べてワイヤレス充電の速度は劣る。さらに、ワイヤレス充電環境が整っていない地域や、データ転送の安定性を求めるユーザーにとって、物理ポートの廃止は不便をもたらす可能性が高い。Appleはこうした市場の動向を踏まえ、慎重な判断を下したと考えられる。

iPhone 17 Airの大画面化計画と「ベンドゲート」の影響

iPhone 17 Airは当初、6.9インチディスプレイを搭載する案が検討されていた。これは、AppleのPro Maxモデルと同等のサイズであり、大画面化の流れを加速させる試みだった。しかし、この計画も最終的に撤回された。その背景には、デバイスの薄型化と画面の大型化を両立させることの難しさがあったとされる。

特にAppleが懸念したのは、過去に発生した「ベンドゲート」の問題である。2014年に発売されたiPhone 6 Plusでは、デバイスのフレーム剛性が不十分だったため、ポケットに入れたまま座ると本体が曲がるという問題が発生した。

このトラブルは大きな議論を呼び、Appleはその後、強度を高めた設計へと移行せざるを得なかった。iPhone 17 Airは薄型デザインを特徴としており、もし6.9インチのディスプレイを搭載すれば、同様の問題が発生する可能性があると判断された。

そのため、Appleは6.9インチの採用を見送り、最終的に6.6インチのディスプレイを搭載する方向に落ち着いた。これにより、剛性と携帯性のバランスを取ることを優先した形となる。薄型化と大画面化の両立は技術的な挑戦ではあるが、Appleは過去の教訓を活かし、より安全な選択を取ったと考えられる。

Appleのデザイン戦略に見る「革新」と「慎重さ」のバランス

Appleはこれまで、ヘッドフォンジャックの廃止、Lightningポートの導入、さらにはUSB-Cへの移行と、業界の標準を塗り替えるような革新を続けてきた。しかし、iPhone 17 Airの開発においては、過去のような大幅な仕様変更を控える慎重な姿勢が目立つ。その背景には、規制当局の圧力や市場の動向が影響している。

Appleは長らく、独自の技術とエコシステムを築くことでブランド価値を高めてきた。しかし、EUの規制強化やユーザーの利便性への配慮から、完全ポートレス化や大画面化といった急進的な変化を取りやめる決断を下したと考えられる。特に、ワイヤレス技術の発展が十分でない現状では、ポートレス設計の導入は市場の混乱を招きかねない。

また、近年のiPhoneのデザインは大きな変化が少なく、消費者の間でも「革新性の低下」が指摘されることがある。その一方で、過去の失敗を繰り返さないための慎重な判断も求められている。Appleは革新とリスク回避のバランスを取りながら、段階的な技術進化を進めているといえる。

Source:Trusted Reviews