Qualcommは携帯型ゲーミングPC市場向けに、新たなSnapdragon Gシリーズチップ3種を発表した。最上位モデルのSnapdragon G3 Gen 3は、オクタコアKryo CPUとAdreno A32 GPUを搭載し、レイトレーシング対応やUnreal Engine 5のLumenサポートを実現。前世代比でCPU性能30%、GPU性能28%の向上を果たした。

ミドルレンジのSnapdragon G2 Gen 2も、CPU性能が2.3倍、GPU性能が3.8倍向上し、FHD+からQHD+への解像度強化を実現。エントリーモデルのSnapdragon G1 Gen 2は、CPU性能が80%向上し、FHD+ 120Hzディスプレイに対応するなど、全体的にスペックが底上げされた。

Snapdragon G3 Gen 3がもたらす次世代モバイルゲーミングの進化

Qualcommが発表したSnapdragon G3 Gen 3は、携帯型ゲーミングPCのパフォーマンスを大きく引き上げる仕様となっている。オクタコア構成のKryo CPUは、高性能なPrimeコアを1基、バランス型のPerformanceコアを5基、電力効率の高いEfficiencyコアを2基搭載。GPUにはAdreno A32が採用され、前世代比でCPU性能30%、GPU性能28%の向上が実現した。

さらに、Unreal Engine 5のLumenをサポートすることで、ライティングやリフレクションの表現力が向上。モバイル環境でもリアルタイムなグローバルイルミネーションを実現し、AAAタイトルの移植がより現実的になってきた。加えて、Wi-Fi 7とBluetooth 5.3に対応するFastConnect 7800モジュールを搭載し、低遅延かつ高速な通信を可能にしている。

また、対応ディスプレイ解像度もFHD+ 144HzからQHD+ 144Hzに向上。従来のSnapdragon G3x Gen 2と比較して、より高精細なビジュアル体験が期待できる。Snapdragon Game Super ResolutionやAdreno Frame Motion Engine 2.0などの技術も備わり、パフォーマンスとバッテリー効率のバランスを維持しながら、フレームレートの向上を実現する。

Snapdragon G2 Gen 2とG1 Gen 2の進化 エントリーからミドルレンジまで強化

Snapdragon G2 Gen 2は、ミドルレンジ向けながらも前世代比で大幅な性能向上が見られる。Kryo CPUは1つのPrimeコア、4つのPerformanceコア、3つのEfficiencyコアを搭載し、処理性能は2.3倍向上。GPUもAdreno A21からAdreno A22へ進化し、グラフィック処理能力が最大3.8倍強化された。これにより、FHD+解像度だった前世代からQHD+解像度へ対応範囲が拡大。

また、Snapdragon Game Super ResolutionとAdreno Frame Motion Engine 2.0にも対応しており、画質とフレームレートの最適化が期待できる。これらの要素が組み合わさることで、ミドルクラスの携帯型ゲーミングPCでも、より高いグラフィック品質と快適なゲーム体験が可能になる。

一方、エントリー向けのSnapdragon G1 Gen 2は、パフォーマンスコア2基、Efficiencyコア6基のオクタコア構成を採用し、前世代比でCPU性能80%向上。GPUもAdreno A12へ強化され、グラフィック性能は25%向上した。これにより、軽量なタイトルやクラウドゲーミング向けのエントリーデバイスでも、より快適な動作環境が提供されることになる。

QualcommのSnapdragon Gシリーズがもたらすモバイルゲーミングの未来

Qualcommの新型Snapdragon Gシリーズは、携帯型ゲーミングPC市場における新たな選択肢となる可能性がある。これまでこの市場ではIntelやAMDが強い影響力を持っていたが、QualcommはARMベースのチップセットを採用することで、消費電力と発熱を抑えながら高いグラフィック性能を実現する方向へ進んでいる。

特に、Snapdragon G3 Gen 3の登場により、モバイルデバイスにおけるAAAタイトルの動作がより現実的になった点は注目に値する。レイトレーシング対応やUnreal Engine 5の最先端技術が活用できることで、携帯型ゲーミングPCのグラフィック表現は次のステージへ進みつつある。

また、Snapdragon G2 Gen 2やG1 Gen 2の進化も見逃せない。これらのチップセットはミドルレンジやエントリー向け市場を強化し、より幅広いユーザー層にゲーミングデバイスが普及する可能性を持つ。特にRetroid Pocketシリーズのようなレトロゲーム向けデバイスにも高性能チップが搭載されることで、クラシックタイトルの快適なプレイが実現するだろう。

今後、Snapdragon Gシリーズを搭載した新型デバイスの実機レビューが出揃うことで、これらのチップが実際の使用環境でどのようなパフォーマンスを発揮するのかが明らかになる。その評価次第では、携帯型ゲーミングPC市場の勢力図が大きく変わる可能性もある。

Source:Tom’s Hardware