AMDが新たに発表したRyzen AI Max+ 395が、AIワークロードにおいてIntelのCore Ultra 7 258Vを大幅に凌駕することを明らかにした。特に大規模言語モデル(LLM)の処理速度において、最大12.2倍の差を記録したと主張している。
DeepSeek R1を含むベンチマークでは、各種LLMタスクで2倍以上の速度向上を示し、特にDistill Qwen 14bでは圧倒的な差がついた。さらにAIビジョンモデルのテストでも最大7倍の高速化を達成。これらの性能向上の背景には、強力な統合グラフィックスや多コア設計、高TDPがあるとされる。
AMD Ryzen AI Max+ 395がAIワークロードで圧倒的な性能差を見せつける理由

AMDが発表したRyzen AI Max+ 395は、AIワークロードにおいてIntelのCore Ultra 7 258Vを大幅に凌駕すると主張している。特に大規模言語モデル(LLM)を用いたベンチマークでは、最大12.2倍の速度差を記録しており、その差は圧倒的だ。
この結果を支えているのは、Ryzen AI Max+ 395の強力な統合グラフィックスと高TDPの設計にある。40基のRDNA 3.5コンピュートユニットを搭載し、AI処理を得意とするハードウェア構成となっている。さらに、CPUコア数の増加によって並列処理能力が向上し、AI演算の効率が大きく向上したと考えられる。
一方で、Core Ultra 7 258Vは最大ターボ電力が37Wと低く、消費電力の制約の中で性能を引き出す設計になっている。そのため、省電力を重視する環境では依然として優位性を持つ可能性がある。AMDが発表したベンチマーク結果は、あくまで特定の条件下での比較であり、実際の使用環境によっては異なる結果が出る可能性もある。
12.2倍の速度差が意味するもの 実際の使用感にどの程度影響を与えるのか
AMDが強調する「最大12.2倍」という数値は、特定のベンチマークにおける結果であり、すべてのAIワークロードで同様の性能差が生じるわけではない。特に、「最初のトークン生成までの時間」に基づく指標であり、継続的な処理速度とは異なる可能性がある。
しかし、実際にDeepSeek R1やPhi 4 Mini InstructといったLLMでの比較では、最低でも4倍の速度差が記録されており、AI処理全般においてRyzen AI Max+ 395が圧倒的な性能を示しているのは確かだ。AIビジョンモデルのテストでも最大7倍の差がついており、テキスト生成にとどまらず、画像認識や推論処理にも優れた性能を発揮することが期待できる。
ただし、こうしたベンチマークは、あくまで「特定のテスト環境」における数値であり、一般的なユーザーが使用する環境では違った結果が出る可能性がある。特にバッテリー駆動時の消費電力やサーマルスロットリングの影響を受けた際に、どの程度の性能維持が可能なのかが今後の焦点となる。
今後の展望 AMDのRyzen AI Max+ 395はどこまで市場をリードできるのか
AMDは今回の発表で、Ryzen AI Max+ 395のAI性能がIntelのLunar Lakeを圧倒するだけでなく、NvidiaのRTX 4090ラップトップGPUを超える可能性があることにも言及している。これが事実であれば、AI処理を多用するユーザーにとって、ノートPCにディスクリートGPUが必須ではなくなる可能性が出てくる。
ただし、NvidiaのRTX 50シリーズが市場に投入されることで競争環境は大きく変わる可能性がある。RTX 50シリーズはAIアクセラレーションの強化が予想されており、AMDのRyzen AI Max+ 395との比較が今後の注目ポイントとなる。
また、AMDのAPUはこれまでゲーム用途に強みを持ってきたが、今回のRyzen AI Max+ 395はAIワークロードを主眼に置いた設計となっている。今後のソフトウェア最適化や、実際のアプリケーションでの動作がどのように評価されるかによって、市場での立ち位置が決まるだろう。ユーザーにとっては、CPUとGPUの境界が曖昧になりつつある中、最適な選択肢を見極めることが重要になりそうだ。
Source:Tom’s Hardware