2025年に入り、アマゾン(AMZN)の株価は11%下落した。これは米国市場全体の調整に伴うもので、企業の業績不振が直接の要因ではない。特に関税や政府の歳出削減が投資家心理を冷やし、ナスダック総合指数も約9%下落している。
しかし、アマゾンの2024年第4四半期決算は市場予想を大幅に上回り、売上高1877.9億ドル、1株当たり利益(EPS)1.86ドルを記録。純利益も前年比で倍増し、コスト削減策の成果が鮮明となった。予想PERは30倍まで低下しており、今後5年で14倍に縮小する可能性が指摘される中、長期投資家にとって魅力的な水準にある。
アナリストの評価は圧倒的に強気で、50人中49人が「買い」推奨。目標株価は現在価格から約37%上昇の余地があると見られる。押し目買いの好機となるか、慎重に見極める局面だ。
アマゾン株の下落は市場全体の影響か 企業の成長戦略を検証

2025年に入り、アマゾンの株価は11%の下落を記録した。市場全体の不安定な動きが背景にあり、ナスダック総合指数は年初来で約9%下落した。特に、米国の関税政策や連邦政府の歳出削減が投資家心理を冷え込ませたことが影響していると指摘される。一方で、アマゾン自体の業績は好調であり、2024年第4四半期の決算では売上、利益ともに市場予想を上回った。
成長戦略の中核となるのはAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)と広告事業である。2025年第4四半期のAWS売上は288億ドルで市場予想通りの結果となったが、広告事業の売上は173億ドルでわずかに予想を下回ったものの、前年比18%増と堅調な伸びを示した。加えて、インド市場への82億ドルの投資や設備投資額の1000億ドルへの増額など、長期的な成長を見据えた積極策を打ち出している。
株価の下落が業績の悪化によるものではなく、外部環境の変化に起因している点は重要である。アマゾンの事業は、コスト削減策の進展やクラウド市場での拡大を背景に、今後も成長を続ける可能性が高い。短期的な市場変動に左右されず、成長余地のある企業として投資の選択肢に入るかどうかが問われる局面といえる。
割安感が増すアマゾン株 押し目買いのタイミングは
アマゾンの現在の株価は過去3年間で最も割安とされており、押し目買いの好機と考える投資家も少なくない。特にPER(株価収益率)は30倍と、近年の同社の水準としては低い水準にある。ただし、業界平均の15倍と比較すると依然として割高であることは否めない。今後の業績成長を前提とすれば、2026年には26倍、さらに5年後には14倍まで低下すると見込まれている。
これを裏付けるように、ウォール街のアナリスト50人のうち49人が「買い」推奨を出しており、売り推奨はゼロである。平均目標株価は268.86ドルと、現在の水準から約37%の上昇余地があると分析されている。また、次四半期の売上予測は1510億~1555億ドル、2025年通期では7500億~7700億ドルとされており、成長基調が維持される見込みだ。
ただし、株価の回復には市場環境の改善が前提となる。関税や政府支出削減の影響が長引けば、投資家心理の冷え込みが続き、株価の上昇が抑制される可能性もある。短期的なリスクを考慮しつつ、長期的な成長を見込んで押し目買いを検討する価値があるかどうかは、個々のリスク許容度によるだろう。
アマゾンの未来展望 成長を支える要因と潜在的リスク
アマゾンの成長を支える柱の一つが、クラウド事業AWSの拡大である。インド市場への巨額投資をはじめ、GPU技術やクラウド管理サービスの強化を進めることで、今後の成長を確保しようとしている。特にインド市場は2030年までに240億ドル規模に拡大すると予測されており、ここでのシェア拡大が同社の収益基盤を強化する可能性がある。
また、広告事業も成長を続けており、近年では検索広告分野での競争力を強めている。2025年第4四半期の広告収入は前年比18%増と堅調で、今後もプラットフォームの利用者拡大に伴い成長が期待される。ただし、景気後退局面では広告市場全体が縮小するリスクもあり、この分野の成長が鈍化する可能性も考慮する必要がある。
さらに、アマゾンの成長を支えるのは、業務効率化とコスト削減策の徹底である。2022年以降のアンディ・ジャシーCEOによる経営改革は着実に成果を上げており、2024年第4四半期の純利益は前年同期比でほぼ倍増した。しかし、競争環境の激化や規制の強化、世界経済の変動が同社に与える影響を慎重に見極める必要がある。アマゾンは今後も成長が期待される企業である一方、短期的なリスクにも注意を払う必要があるだろう。
Source:Barchart.com