人工知能(AI)技術を活用したデータ分析企業パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が、過去1か月で30%下落した。2024年には政府契約の増加とAI市場の拡大を背景に341%の急騰を記録したが、2025年初頭のピーク以降は、金利上昇や米国の財政支出削減リスクといったマクロ経済要因の影響を受け、急激な調整局面に入っている。

同社の財務基盤は安定しており、2024年第4四半期の決算では市場予想を上回る売上高と利益を計上した。しかし、PER244.6倍という高いバリュエーションが投資家の警戒感を招いており、今後の株価動向には不透明感が漂う。アナリスト評価も分かれており、一部は大幅な上昇を見込む一方で、慎重な見方を崩さない意見も多い。短期的なリスクと長期的な成長期待の間で、投資家は慎重な判断を迫られる局面となっている。


パランティア株の急落とその背景 市場のセンチメント悪化の要因

パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価は、2025年初頭の急騰を経て過去1か月で30%の下落を記録した。2024年にはAI技術の発展と政府契約の拡大により341%もの上昇を遂げたが、投資家のセンチメントは急速に冷え込んでいる。その主な要因として、金利上昇、米国の連邦支出削減リスク、貿易摩擦の影響が挙げられる。これらのマクロ経済的な要因が、ハイテク株全体の評価を押し下げる要因となっている。

特に金利上昇は、成長銘柄にとって逆風となる。パランティアのような高バリュエーション銘柄は、将来の利益成長を期待して評価されるが、金利が上がるとその期待収益の現在価値が低下する。さらに、連邦政府の支出削減の可能性も大きな懸念材料だ。同社の収益の多くが政府機関との契約に依存しているため、財政引き締めは業績の成長余地を制限する可能性がある。このような市場環境の変化が、投資家の慎重姿勢を強め、パランティア株の急落を招いたと考えられる。

依然として割高な評価 投資家心理を分けるバリュエーション

パランティアの株価評価は、依然として割高な水準にある。株価収益率(PER)は244.6倍、株価売上高倍率(PSR)は65.2倍、株価純資産倍率(PBR)は36.6倍と、一般的なエンタープライズ・ソフトウェア企業を大幅に上回る。特にPERの高さは、将来的な収益成長が織り込まれた水準であり、短期的な利益では説明がつかない水準に達している。

一方で、同社の事業基盤は強固であり、政府機関向けの安定した収益源と、商業部門での拡大を進めていることは評価すべき要素だ。特に2024年第4四半期決算では、売上高が前年同期比36%増の8.28億ドルに達し、市場予想を上回った。これにより、成長力のある企業であることは確かだが、株価が依然として割高であることが投資家心理を分ける要因となっている。高成長期待が継続すれば現在の評価は維持される可能性があるが、マクロ経済の逆風が強まる中で、このバリュエーションを正当化するにはさらなる成長が不可欠となる。

今後の株価動向 投資判断の分かれ目

パランティアの2025年第1四半期の売上高予想は8.58億~8.62億ドルで、前年同期比30%の成長が見込まれている。通年の売上高は37.41億~37.57億ドル、調整後フリーキャッシュフローは15億~17億ドルと予測されており、成長基調は継続している。一方で、市場はこの成長ペースをすでに株価に織り込んでいる可能性があり、さらなる株価上昇には予想を上回る業績が求められる。

アナリストの目標株価は平均85.11ドルと、現在の株価とほぼ同水準にある。ただし、見解は大きく分かれており、最も強気な予測では141ドルまでの上昇余地を見込む一方、最も慎重なアナリストは18ドルまでの下落リスクを指摘している。この振れ幅の大きさは、同社の事業の成長可能性とリスクの両面を反映しているといえる。短期的には市場環境の影響を受けやすいが、長期的にはAI分野の拡大が業績を支える要因となるだろう。投資家にとっては、成長余地とマクロ経済の影響を慎重に見極めることが求められる局面である。

Source: Barchart.com