エヌビディア(Nvidia)は3月17日に年次技術カンファレンス「GTC 2025」を開幕し、AI、量子コンピューティング、共包装オプティクス(CPO)といった先端技術の発表が注目されている。AIチップ「B300」は前世代比50%の性能向上が見込まれ、量子技術ではQuantum-3およびQuantum-X800の最新動向が明らかになる見通しだ。また、CPO技術の導入はデータセンターの電力消費削減に寄与するとされ、業界内での関心が高まっている。
一方、GTC開幕前にNVDA株は約3%下落し、年初来高値から20%の調整を見せている。しかし、ウォール街では依然として強気の見解が支配的で、目標株価は現水準から45%の上昇余地があるとの評価がなされている。市場は、同社の最新技術が成長ドライバーとなるかを慎重に見極めようとしている。
エヌビディアがGTC 2025で示すCPO技術の可能性

エヌビディアはGTC 2025で、Co-Packaged Optics(CPO)技術の最新動向を発表すると見られている。CPOは、光接続をチップ内部に統合することで、データセンター内のAIサーバークラスターの消費電力を大幅に削減することを目的とする技術だ。ジェフリーズのアナリスト、ブレイン・カーティス氏は、エヌビディアがInfiniBandおよびSpectrum向けのCPOオプションを披露する可能性を指摘している。ただし、彼は「初期の出荷量は限定的」としており、短期的な市場への影響は限定的なものになる可能性があると見られる。
CPO技術が本格的に実装されれば、高性能コンピューティング(HPC)やAIのトレーニング環境のエネルギー効率が向上し、コスト削減にもつながる可能性がある。特にAI市場が拡大し、データセンターの電力消費が問題視される中、この技術は重要な転換点となるかもしれない。しかし、エヌビディアはこれまでGPU中心の戦略を取っており、CPO技術が同社の成長戦略にどう組み込まれるかが注目される。今回のGTCでエヌビディアがCPO技術の実演を行うことで、その市場適用可能性がどの程度進展しているかを測る材料となるだろう。
量子コンピューティング分野におけるエヌビディアの立ち位置
エヌビディアはGTC 2025で、量子コンピューティング関連技術の進展についても発表を予定している。特にQuantum-3およびQuantum-X800プラットフォームに関する最新情報が提供される見込みであり、この分野におけるエヌビディアの技術的進展が明らかになる。量子コンピュータの実用化には長い時間が必要とされるが、D-Wave(QBTS)が「量子超越性(Quantum Supremacy)」を達成したと主張するなど、技術の発展は着実に進んでいる。
エヌビディアはこれまで量子コンピューティング市場において大きなシェアを持つ企業ではないが、AIとの統合により独自の競争力を確立する可能性がある。量子コンピュータは膨大な計算を高速に処理できるが、従来のシリコンベースのプロセッサとの連携が課題となっている。エヌビディアがGTC 2025で発表する技術が、量子と従来型のコンピューティングをどのように融合させるのかが焦点となる。CEOのジェンスン・ファン氏の過去の発言と比較し、同社が量子分野にどの程度の投資を進めているのかも注視すべき点だ。
GTC 2025がエヌビディア株に与える影響
GTC 2025の開幕を前に、エヌビディア株(NVDA)は約3%下落しており、年初来高値から20%の調整局面にある。しかし、ウォール街のアナリストは同社に対して強気の見解を維持しており、平均目標株価は現在の水準から45%の上昇余地があるとされている。今回のGTCではAIチップ「B300」が発表される予定であり、50%の性能向上が見込まれることから、市場の反応が注目される。
新製品の発表は投資家心理を左右する要素となるが、市場では半導体業界全体の需要動向や供給体制も重要視されている。特に、エヌビディアの競合企業も新技術を発表している中で、同社の優位性がどの程度維持されるのかが焦点となる。今回のGTCで示される新たな技術やビジョンが、株価の回復材料となるかどうかは、投資家の期待と市場環境のバランスにかかっているだろう。
Source: Barchart.com