米国の住宅市場に新たな逆風が吹いている。トランプ政権がカナダ、メキシコ、中国からの木材や家電製品に課した関税が、新築住宅やリフォームのコスト上昇を引き起こしている。全米住宅建設業者協会(NAHB)によれば、これにより一戸建て住宅の建設費用は7,500~10,000ドル増加すると予測されている。

すでに市場では影響が現れており、建築業者は木材の備蓄を増やし、価格上昇を吸収しようとしているが、完全な回避は困難だ。カナダ産木材を大量に仕入れた業者でも価格転嫁を余儀なくされ、改装済み住宅の価格は7~12%上昇した。住宅購入者の負担が増す一方で、価格高騰による需要低迷が懸念されている。

さらに、関税の影響は建材だけでなく、国内メーカーの価格引き上げにも波及する可能性が高い。住宅市場が低迷する中、建築業界は厳しい局面を迎えている。関税の適用時期や継続期間が不透明なため、計画の立てづらさも課題となり、今後の市場動向は予断を許さない状況だ。


木材と家電への関税が住宅コストに及ぼす影響

米国の住宅市場では、木材や家電製品に対する関税が建築コストの上昇を引き起こしている。トランプ政権が導入した関税措置により、カナダやメキシコ、中国からの輸入品の価格が高騰し、建築業者や住宅購入者に負担を強いている。特に木材価格の上昇は顕著で、3月4日には木材先物価格が1,000ボードフィート当たり658.71ドルに達し、過去2年以上で最高水準となった。

全米住宅建設業者協会(NAHB)は、この関税により一戸建て住宅の建設コストが7,500~10,000ドル増加すると試算している。このコスト増は住宅価格へ転嫁されるため、新築住宅の購入がさらに難しくなる。住宅市場が低迷している現在、この価格上昇は販売の停滞を招く可能性がある。

また、住宅リフォーム市場でも影響が広がっている。サンフランシスコの「We Buy Houses」は、改装済み住宅の販売価格を7~12%引き上げた。同社はコスト上昇に備え、カナダ産木材の備蓄を通常の62%増にしたが、それでも完全に影響を抑えることはできなかった。このように、関税によるコスト増は建築・リフォーム業界全体に波及している。

関税の不確実性が建築計画に与える影響

関税の発効時期や継続期間が不透明であることが、建築業者にとって大きな懸念材料となっている。ニューヨーク州ファーミングデールの建材供給会社「JC Ryan」のダナ・シュニッパー氏は、関税適用によってカナダから調達した木製ドアとフレームのコストが19,000ドル増加し、顧客の支払総額が30,000ドル上昇すると指摘する。すでに発注済みの建材には関税がかからないものの、新たな注文には高額な追加コストが発生しており、業者の負担は増している。

関税の影響は建材の調達だけではない。関税による輸入品価格の上昇を受け、米国内メーカーも価格を引き上げる動きを見せている。これは、国内製品を使用すればコスト上昇を回避できるという単純な話ではないことを示している。

建築業者にとって、コスト上昇に対応するための戦略が求められるが、関税の先行きが不透明なため、長期的な価格予測が難しい。今後の関税措置によっては、建築計画の変更や住宅販売価格の再調整を余儀なくされる可能性がある。

住宅市場への波及と消費者の動向

住宅市場が低迷する中、関税による建築コストの上昇は市場の回復をさらに遅らせる可能性がある。特に、新築住宅の購入を検討している層にとって、価格上昇は大きな障害となる。住宅購入をためらう消費者が増えれば、建築業者は販売促進のためにさらなる値引きやインセンティブを提供せざるを得なくなるだろう。

一方で、関税の影響はリフォーム市場にも及んでいる。サンディエゴの「Better Place Design & Build」のオーナー、バー・ザクハイム氏は、カナダ産木材の価格上昇により、施工費を15%引き上げざるを得なくなった。その結果、受注件数は前年より8%減少したという。このように、建築コストの上昇は市場の冷え込みを加速させる要因となっている。

今後、住宅市場の動向は関税政策の行方に左右されることになる。NAHBの試算では、関税によって建築材料のコストが30億ドル以上増加すると見込まれている。建築業者や消費者は、価格動向を慎重に見極めながら計画を立てる必要があり、市場全体が不安定な状況に直面している。

Source: Barchart.com