ビットコイン(BTC)の市場動向を示すフィッシャー変換指標が2022年の弱気市場以来の低水準に達した。暗号通貨アナリストのトニー・セヴェリーノは、CME週足チャートに基づき、BTCのさらなる下落リスクを指摘。過去のデータと比較すると、市場は今後90~120日間の停滞期に入り、大幅な価格変動を伴う可能性がある。

現在、BTCの価格は83,285ドルで、年初の最高値104,000ドル超から20%以上の下落を記録。ボリンジャーバンド指標も下方リスクを示しており、市場の「最大の痛み(Max Pain)」の局面が訪れる可能性が浮上。セヴェリーノは、ビットコインが底値を模索する一方で、新たな史上最高値を目指すシナリオも否定できないとしている。

フィッシャー変換が示唆するビットコイン市場の危機

ビットコイン市場における重要なテクニカル指標であるフィッシャー変換が、2022年の弱気相場と同水準まで下落した。この指標は価格の転換点を強調するモメンタムオシレーターであり、極端な数値に達すると市場の急変を示唆する。トニー・セヴェリーノが共有したCME週足チャートでは、フィッシャー変換が-1.96、対応するトリガーラインが-1.66と、過去の大幅下落時と類似の水準となっている。

2022年の弱気市場では、フィッシャー変換が現在と同様の数値を記録した後、ビットコインは長期の売り圧力にさらされ、最終的に大底を迎えた。現在の市場も同じパターンを繰り返すのか注目されるが、過去の事例が必ずしも再現されるとは限らない。しかし、この指標が歴史的な下落のシグナルとなったことは否定できず、投資家はリスク管理を強化する必要がある。

市場のセンチメントを測るうえで、テクニカル指標は有効な手段だが、フィッシャー変換単体で相場の未来を決定づけるものではない。過去のデータと現在の市場状況を総合的に分析し、他の指標との組み合わせで慎重に判断することが求められる。

ビットコインの「最大の痛み」とは何か

セヴェリーノは「最大の痛み(Max Pain)」の局面が訪れる可能性を指摘している。この表現はオプション市場でよく使われる用語であり、市場の多数派が最も不利益を被る価格帯を意味する。現在のビットコイン市場においては、ボリンジャーバンド指標が32.2という数値を示しており、これが一定の統合期間を経て価格がさらに下落する可能性を示唆している。

ボリンジャーバンドの動きから判断すると、現在のビットコイン価格は83,285ドルであり、ボリンジャーバンド下限である79,633ドルに向かう可能性がある。一方、基準価格である94,917ドルを突破すれば、新たな上昇トレンドに入る可能性もある。しかし、市場が「最大の痛み」を経験する局面では、多くの投資家が損失を被る中で価格変動が続く傾向がある。

過去の相場と照らし合わせると、強気相場と見られた局面でも一時的な急落が発生し、投資家心理が揺さぶられることがあった。今回も同様の展開が予想されるが、長期的には市場が安定し、新たな価格水準へと移行する可能性もある。短期的な乱高下に惑わされず、冷静に市場を分析することが求められる。

90~120日間の停滞か 新たな高値への布石か

セヴェリーノの分析によると、ビットコイン市場は今後90~120日間にわたりレンジ相場を形成する可能性がある。これは、強気派と弱気派が拮抗し、明確な方向性を持たない相場が続くことを意味する。歴史的に見ても、価格が大幅に下落した後には一定期間の停滞を経て、新たなトレンドが形成されることが多い。

現在、ボリンジャーバンドのチャートでは、下限価格が79,633ドル、基準価格が94,917ドル、そして新たな史上最高値(ATH)となる可能性のある水準が110,201ドルと示されている。このことから、市場が停滞期間を経た後、方向性が決まれば大きく動く可能性がある。

短期的な価格の停滞は、多くの投資家にとって不安要素となるが、逆に言えば次の大きな値動きの前触れとも考えられる。レンジ相場の間に市場の取引量やセンチメントがどのように変化するかが、今後の相場を占う重要なポイントとなる。価格がボリンジャーバンド上限を突破するか、それとも下限を割り込むかによって、市場の次の展開が決まることになる。

Source:Bitcoinist.com