中国市場におけるiPhoneの販売台数が前年同月比で20.6%減少したことが明らかになった。中国情報通信技術研究院(CAICT)のデータによれば、1月のiPhone販売は440万台にとどまり、外国ブランドのスマートフォンの中でもAppleは特に大きな打撃を受けている。この市場縮小の要因には、HuaweiやXiaomiなどの国内ブランドとの競争激化、消費者の嗜好変化、そして米中貿易摩擦の影響が挙げられる。
Appleにとって中国市場は売上全体の約20%を占める重要な地域であり、今後の業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。投資家の懸念が強まる中、Appleの株価は年初来で12%下落しており、今後の戦略が注目される。AI分野でのAlibabaとの提携など、成長の足がかりを模索する動きも見られるが、その効果には疑問の声も上がっている。
ウォール街ではAppleに対する評価が分かれており、目標株価は最高325ドルから最低188ドルまで幅広く見積もられている。一部の専門家は、現在の売り浴びせを過剰反応とみなし、長期的な成長の可能性を指摘しているが、Siriのアップグレード遅延によるiPhone需要の鈍化など、短期的な課題も依然として残っている。
iPhoneの販売減少が示す中国市場の変化

AppleのiPhone販売台数が中国市場で前年同月比20.6%減少したことは、単なる一時的な低迷ではなく、市場構造の変化を反映している。1月の外国ブランドのスマートフォン出荷台数全体が減少した中で、Appleの落ち込みが特に顕著だったことは、中国国内ブランドとの競争激化を物語る。特にHuaweiは、独自のチップ技術と最新の折りたたみスマートフォンを武器に市場シェアを拡大しており、Appleの高価格帯モデルに対する圧力が高まっている。
さらに、中国経済の減速により、消費者の購買行動にも変化が見られる。特に中高価格帯のスマートフォン市場では、コストパフォーマンスの高い製品が求められる傾向が強まっており、Appleのプレミアム価格帯モデルは相対的に競争力を失っている。中国市場では、AI機能や独自のOSを搭載したHuaweiの「HarmonyOS NEXT」やXiaomiの「HyperOS」が注目を集め、AppleのiOSとの機能差が消費者の選択に影響を与えている可能性がある。
こうした市場の変化は、Appleにとって大きな戦略転換を迫る要因となる。中国市場でのiPhoneの競争力を維持するためには、単なる価格引き下げではなく、消費者が求める機能強化や、ローカル市場に適した施策が不可欠となる。AppleはAlibabaとの提携を発表し、中国市場向けの「Apple Intelligence」導入を進めているが、その影響がどの程度あるのかは不透明である。
AAPL株価への影響と投資家の見解
Appleの中国市場での苦戦は、株価にも影響を及ぼしている。2025年初頭からAAPL株価は12%下落しており、中国市場での販売不振が投資家心理を冷え込ませている。特に1月の販売台数の大幅減少は、Appleの成長鈍化への懸念を強める要因となっている。前回の取引終了時点では1.8%上昇し213.49ドルとなったものの、これが一時的な反発なのか、継続的な回復の兆しなのかは見極めが必要である。
ウォール街の専門家の見解は分かれている。Jefferiesのエジソン・リー氏は、AppleがAIサービスを中国市場で展開することの難しさを指摘し、同社の戦略に慎重な見方を示している。一方でWedbush Securitiesのダン・アイブス氏は、現在の株価低迷を「過剰反応」とし、目標株価を325ドルに設定。長期的な視点では、AppleのAI展開が収益成長に寄与する可能性があると強調する。
また、Morgan Stanleyのエリック・ウッドリング氏は、Siriのアップグレード遅延によるiPhone需要の低迷を考慮し、目標株価を275ドルから252ドルに引き下げた。これは、AppleのAI戦略が投資家の期待を満たせるかどうかが、今後の株価動向に大きく関わることを示唆している。ウォール街の平均目標株価は249.38ドルとされており、今後の業績次第で株価が再評価される可能性もある。
Appleが中国市場での販売減少を克服し、株価を押し上げるためには、競争力のある製品戦略と市場適応力が求められる。AI技術の活用や、ローカルパートナーとの連携を深めることが、今後の成長を左右する鍵となるだろう。
Source: Finbold