AMDの新型GPU「RX 9070 XT」が登場し、圧倒的な4Kゲーム性能とRDNA 4アーキテクチャの採用で話題を集めている。AIアクセラレーターを搭載し、1557 AI TOPsを誇るこのモデルは、Radeon 9000シリーズの評価をさらに押し上げ、AMDの市場シェアを45%に引き上げた。一方、IntelのArc B580は価格を抑えつつ、RTX 4060を上回るパフォーマンスを発揮し、1440pゲーミングに適した選択肢となっている。

RX 9070 XTは16GB GDDR6メモリとPCIe 5.0 x16接続を備え、最大304WのTDPで動作するのに対し、B580は12GB GDDR6メモリとPCIe 4.0 x8接続を採用し、225Wの消費電力で抑えられている。4K解像度ではRX 9070 XTが圧倒的な差を見せるが、B580も一部のゲームではプレイ可能なフレームレートを維持する。

価格はRX 9070 XTが$599、B580が$249と大きな差がある。4Kゲームを快適に楽しむならRX 9070 XT、コストを抑えて1440pや1080pでゲームをするならB580が選択肢となる。それぞれのユーザー層に向けた最適なGPUはどちらか、スペックと実際のゲーム性能を基に比較する。

RX 9070 XTとIntel Arc B580のスペックを比較 GPUの設計思想の違い

RX 9070 XTとIntel Arc B580は、どちらも最新世代のGPUでありながら、設計の方向性が大きく異なる。RX 9070 XTは、AMDのRDNA 4アーキテクチャを採用し、64のコンピュートユニットと強力なAIアクセラレーターを搭載。1557 AI TOPsの演算能力を持ち、最新のゲームやAI処理にも対応できる。VRAMは16GB GDDR6を採用し、PCIe 5.0 x16接続で高速データ転送を可能にしている。

一方、Intel Arc B580は、Xe2アーキテクチャを採用し、20のXeコアと160のAIアクセラレーターを搭載。AI処理性能は233 AI TOPsにとどまるが、コストを抑えつつバランスの取れたパフォーマンスを提供する。メモリは12GB GDDR6で、PCIe 4.0 x8接続となっており、エントリー~ミドルレンジ向けの設計といえる。

この2つのGPUは、スペック上ではRX 9070 XTが圧倒的に優れているが、その分消費電力も高い。RX 9070 XTのTDPは304Wであり、高性能な電源ユニットと冷却システムが必要だ。一方、Intel Arc B580は225Wと控えめな消費電力で、発熱や電源負担が少ない。このように、性能を最優先したRX 9070 XTと、価格や消費電力のバランスを重視したArc B580の違いが明確に表れている。

4K・1440pゲームの実力差 数値が示すパフォーマンスの違い

実際のゲームパフォーマンスを見ると、RX 9070 XTとIntel Arc B580の間には明確な差がある。特に4K環境ではRX 9070 XTが圧倒的な性能を誇り、多くのタイトルでB580を大きく引き離している。たとえば『Doom Eternal』ではRX 9070 XTが228 FPSを記録したのに対し、B580は90 FPSと約2.5倍の開きがある。同様に『Assassin’s Creed: Mirage』ではRX 9070 XTが98 FPS、B580は48 FPSと、大きな差がついた。

1440p環境ではB580もある程度戦える性能を持つが、それでもRX 9070 XTには及ばない。『Counter-Strike 2』ではRX 9070 XTが231 FPSに対し、B580は124 FPSと約60%の差がある。また、『Doom Eternal』ではRX 9070 XTが387 FPS、B580は166 FPSと、依然として大きな違いが見られる。

この結果から、4K解像度でのゲームプレイを快適にしたいならRX 9070 XTが圧倒的に優れているといえる。一方で、1440pや1080pでのプレイを目的とし、コストを抑えたい場合はB580も十分な性能を発揮する。特に高リフレッシュレートを求めるFPSタイトルでは、B580でも満足のいくフレームレートを得られるケースが多い。

価格差とコストパフォーマンス どちらを選ぶべきか

性能差が明確なRX 9070 XTとIntel Arc B580だが、価格を考慮するとどちらを選ぶべきかが見えてくる。RX 9070 XTの価格は$599で、B580の$249と比べて約2.4倍の価格差がある。この価格差がそのまま性能差に反映されるかというと、必ずしもそうではない。

たとえば、RX 9070 XTの4Kゲーミング性能はB580より大幅に優れているが、1440p以下の環境ではB580でも十分なフレームレートを確保できる。また、B580は消費電力が低く、電源ユニットや冷却システムに追加コストをかける必要がない。そのため、コストを抑えつつ1440p環境で快適にゲームを楽しみたい場合、B580は非常に魅力的な選択肢となる。

一方、4K解像度で最新ゲームを最高設定でプレイしたいなら、RX 9070 XT以外の選択肢はない。特に、レイトレーシングや高負荷なゲームをプレイするなら、B580では対応しきれない場面が出てくる。そのため、長期的に見て最高の環境を整えたいなら、RX 9070 XTのほうが満足度は高くなる。

最終的に、どちらのGPUを選ぶべきかは、求める性能と予算次第だ。コストを抑えて1440pの快適なゲームプレイを求めるならIntel Arc B580、最高の4K体験を目指すならRX 9070 XTが最適な選択といえる。

Source:PC Guide