米データ分析企業パランティア・テクノロジーズ(NASDAQ: PLTR)の共同創業者であり社長のスティーブン・コーエン氏が、3月12日に375万株を売却し、その総額は3億1000万ドルに達した。この取引は、同社が米陸軍との1億7840万ドル規模の契約を発表した直後に行われた。
パランティアの株価は2月の高値124.62ドルから30%以上下落していたが、今回の売却は、株価が反発したタイミングで行われた点が注目される。仮に3月10日の安値76.38ドルで売却していた場合、売却総額は2億8640万ドルにとどまり、わずか2日間の差で2360万ドルの利益差が生じていたことになる。
この取引はコーエン氏にとって異例の規模であり、彼の過去の取引と比較しても際立っている。2023年11月以降、彼の売却額は急増し、特に直近の取引では9600万ドル、6900万ドル、そして今回の3億1000万ドルと、規模が劇的に拡大している。この動向を受け、市場関係者の間ではパランティア株の先行きに対する関心が高まっている。
パランティア共同創業者スティーブン・コーエン氏の株式売却 その背景と市場への影響

3月12日、パランティアの共同創業者であり社長のスティーブン・コーエン氏は、同社株375万株を1株あたり82.73ドルで売却し、売却総額は3億1000万ドルに達した。この売却が発表されたのは、パランティアが米陸軍との1億7840万ドル規模の契約を公表した直後であった。
今回の売却が注目される理由の一つは、株価の動きとの関連である。2月の最高値124.62ドルから約30%下落していたが、売却前の3月10日には76.38ドルの安値をつけ、その後、売却時点で82.73ドルまで反発していた。仮に10日に売却していた場合、売却総額は2億8640万ドルにとどまり、2日間で2360万ドルもの差が生じていた。このタイミングの妙が、市場関係者の関心を引いている。
また、コーエン氏の過去の取引と比較しても、今回の売却は異例の規模である。2023年11月以降、彼の株式売却額は急速に拡大しており、11月には2150万ドル、続く取引では9600万ドル、6900万ドルと推移し、今回の取引で一気に3億1000万ドルに到達した。この動向が市場の不安を招く要因の一つとなっている。
パランティア株のインサイダー取引動向 過去の事例と今回の売却の特異性
コーエン氏による3月12日の取引は、パランティアの過去6か月間における最大のインサイダー取引ではない。2023年11月29日には、同社の最高技術責任者(CTO)であるシャーム・サンカー氏が、528万株を1株あたり平均70.06ドルで売却し、総額3億6990万ドルの取引を行った事例がある。
しかし、今回の取引は、過去の売却と比べても特異な点がいくつかある。その最大の特徴は、売却のタイミングである。パランティアが米陸軍との契約を発表した直後に取引が実行されたことで、企業の成長戦略とインサイダー取引の関連性が疑問視されることになった。通常、インサイダー取引は企業の将来見通しや株価の変動を見越して行われることが多いが、今回の売却額の大きさと市場状況を考慮すると、より精密な戦略のもとで実行された可能性がある。
また、コーエン氏の過去の取引額と比較しても、今回の3億1000万ドルという規模は突出している。2021年3月以降、彼の取引額は100万ドルから1200万ドル程度で推移していたが、2023年12月以降、1000万ドルを超える取引が増加し、短期間で数億ドル規模に膨れ上がった。この急激な変化が、投資家心理に影響を与える要因となっている。
パランティア株の今後の展望 株価の不安定さと成長の可能性
3月17日時点で、パランティア株は依然として不安定な状況にある。2月の高値124.62ドルから約30.8%下落し、3月15日の終値は86.24ドルとなった。この下落は短期間での急騰を受けた調整とも捉えられるが、インサイダーによる大規模な売却が続いていることが、投資家の不安を増幅させている。
しかし、パランティアの株価は長期的に見れば依然として上昇基調にある。過去12か月間で259.33%もの上昇を遂げており、2025年に入ってからも14.70%の成長を維持している。今回の売却が市場に与えた影響は一時的なものにとどまり、同社の成長戦略が確実に進展すれば、再び株価が上昇する可能性は十分にある。
加えて、パランティアのビジネスモデルは、政府機関や防衛産業との契約を基盤としており、安定した収益が期待できる。特に今回の米陸軍との契約のように、政府調達案件を獲得することで、長期的な事業基盤の強化が進む可能性がある。ただし、インサイダーによる継続的な売却が続けば、市場の信頼を損なうリスクも否定できず、今後の動向が注視されることになる。
Source:Finbold