AMDの新GPU「RX 9070」が日本市場で好調な販売を記録し、Radeonのシェアが45%に達したと報じられている。この急成長は、Nvidiaが長年支配してきたGPU市場の勢力図を塗り替える可能性がある。
日本で開催されたプレスイベントで、AMDの関係者は「これまでにない販売数」とコメント。さらに、AMD幹部も「RDNA 4 GPUの需要は記録的」と述べ、市場の熱気が伝わる。一方、供給不足や価格の高騰といった課題も浮上しており、今後の展開が注目される。
AMD RX 9070の急成長 日本市場での販売シェアが示すもの

AMDの最新GPU「RX 9070」は、日本市場でRadeonブランドの販売シェアを45%に押し上げる原動力となった。RDNA 4アーキテクチャを採用したこのモデルは、前世代に比べて大幅な性能向上を実現しており、多くのゲーマーやクリエイターの注目を集めている。
日本で開催されたAMDのプレスイベントでは、AMDの日本マーケティングマネージャーである佐藤義明氏が「これほどの販売数は過去になかった」と発言したことからも、その勢いが伝わる。ASRockの担当者も「過半数には届いていないが、70%を目指せる」と言及し、さらなる成長の可能性に期待を寄せている。
しかし、この45%という数字は最近の販売動向を示しているものであり、長期的な市場シェアの変化を意味するものではない可能性がある。世界市場では依然としてNvidiaが優勢であり、AMDがこの勢いを持続できるかどうかが今後の鍵となる。
供給不足と価格の高騰 RX 9070の普及に立ちはだかる課題
RX 9070の販売は好調だが、その一方で深刻な供給不足が発生している。AMDのコーポレートVPであるDavid McAfee氏も「RDNA 4の需要は過去最高レベル」と認めており、生産が追いついていない現状が浮き彫りになっている。
さらに、RX 9070の価格高騰も問題視されている。公式のメーカー希望小売価格(MSRP)での販売はほとんどなく、一部の小売店では大幅なプレミア価格が付けられている。これにより、購入を検討しているユーザーにとっては大きな負担となり、せっかくの高性能GPUが手に入りにくい状況が続いている。
AMDのFrank Azor氏は「できる限り迅速に供給を増やす」と発言しているが、具体的な改善策は明らかにされていない。現状のままでは需要が供給を上回り、価格の高騰が長期化する可能性がある。適正な価格と安定した供給が実現されなければ、AMDの勢いが長続きしない恐れもある。
Nvidiaの牙城を崩せるか GPU市場の今後の行方
Nvidiaはこれまで長年にわたり、デスクトップ向けGPU市場で圧倒的なシェアを誇ってきた。2024年12月時点ではNvidiaの市場占有率が90%に達していたことからも、その支配力の強さがうかがえる。しかし、最近ではRTX 5000シリーズの供給不足や価格高騰、新型「Blackwell」GPUの不具合報告などが相次ぎ、ユーザーの不満が高まっている。
この状況はAMDにとって大きなチャンスとなり得る。もしAMDがRX 9070シリーズの供給を安定させ、適正な価格で提供できれば、Nvidiaから市場シェアを奪う可能性がある。特に日本市場ではすでにRadeonの販売シェアが伸びており、さらなる拡大の余地もある。
しかし、Nvidiaもこのまま黙ってはいないだろう。今後のドライバ最適化や新型GPUの発表など、巻き返しの動きが見られるかもしれない。GPU市場はこれからも激しい競争が続くことが予想され、価格や性能のバランスが重要な要素となるだろう。
Source:TechRadar