Adobeは、生成AIチャットボットをパーソナルショッピングアシスタントのように活用する消費者が増加していると報告した。同社の調査では、米国の消費者のうち39%がすでにAIをオンラインショッピングに活用しており、53%が今年中に利用を予定していることが明らかになった。ただし、AIを利用したリサーチが即座に購買へとつながるわけではない。

Adobeの分析によれば、AIチャットボット経由の訪問者はエンゲージメントが8%高いものの、購入確率は9%低下している。このデータは、AIが主に情報収集の手段として利用されていることを示しており、現時点では小売業者の売上に直結するツールとは言い難い。ただし、2024年7月時点では購入率が43%低下していたことを考慮すると、大幅な改善が見られる。

消費者がAIを活用する主な目的は、リサーチ(55%)、商品の推薦(47%)、割引情報の検索(43%)など多岐にわたる。また、AI利用者の86%がデスクトップ端末を使用している点も興味深い。モバイル主流のEC市場において、AIが異なる購買体験を生み出していることが浮き彫りになった。

AIショッピングアシスタントの普及 消費者の購買行動に与える影響

Adobeの調査によれば、米国の消費者のうち39%がすでに生成AIをオンラインショッピングに活用しており、53%が今年中の利用を予定している。このデータから、多くの消費者がAIをリサーチや価格比較の手段として採用し始めていることがわかる。特に、商品の推薦や割引情報の検索において、AIは購買決定の初期段階で重要な役割を果たしている。

しかし、AIを経由したサイト訪問者のエンゲージメントが8%向上している一方で、購入率は9%低下している。2024年7月時点では購入率の低下幅が43%であったため、回復傾向にあるものの、依然として「情報収集のためのツール」としての側面が強いといえる。これは、消費者がAIを用いた「ウィンドウショッピング」を楽しんでいることを示唆しており、購買に直結するにはさらなる改善が求められる。

また、AIを利用する消費者の86%がデスクトップ端末からアクセスしている点も特筆すべきである。一般的なECサイトではモバイル経由の購入が主流であるが、AIショッピングではデスクトップが支配的である。この違いは、消費者がAIを使う際に慎重なリサーチを行い、複数のタブを開きながら比較検討する傾向があるためと考えられる。

AIの「コンバージョンギャップ」なぜ購買につながりにくいのか

AIを活用したオンラインショッピングにおいて、情報収集と購買行動の間には依然として大きな隔たりがある。この「コンバージョンギャップ」は、AIが提供する情報の精度や、消費者の心理的な要因に起因する可能性がある。Adobeの分析では、AIチャットボットを利用した消費者のエンゲージメントは高まっているが、実際の購買決定には至りにくいことが判明している。

その要因の一つとして考えられるのは、AIが提示する商品情報や価格情報の信頼性である。消費者はAIを通じて情報を得た後、最終的な確認を行うためにブランドの公式サイトや他のレビューサイトを訪れる傾向がある。その過程で、AIが提供する情報と実際の情報に相違があれば、購入をためらうケースが増える。

さらに、AIを利用した購買プロセスには、心理的な壁が存在する可能性がある。従来のオンラインショッピングでは、消費者は自身の意思で検索し、比較し、最終的な決定を下していた。しかし、AIを介することで、推奨された商品をそのまま選ぶことに対する抵抗感が生じることが考えられる。このため、AIによるリサーチが購買に直結するには、消費者の信頼を深める仕組みが求められる。

生成AIとECの未来 AIがもたらす新たな購買体験

現在、AIはオンラインショッピングのリサーチ段階において強力なツールとなりつつあるが、今後は購買行動そのものを変革する可能性がある。Adobeのデータによれば、AIを介した購買率の低下幅は縮小しつつあり、消費者がAIの提案を受け入れる傾向が強まっている。これは、AIのアルゴリズムが進化し、より精度の高いパーソナライズドな提案が可能になったためと考えられる。

今後のAIショッピングの発展には、消費者の「購買決定の最終ステップ」までをシームレスにサポートする仕組みが不可欠である。例えば、リアルタイムの価格変動情報や、個別のクーポン配布機能を組み合わせることで、購買意欲を高めることができる。また、消費者がAIを介して購入することに対する心理的なハードルを下げるため、ブランドとAIの連携を強化する取り組みも重要となる。

加えて、現在デスクトップ端末での利用が主流である点を踏まえ、モバイル向けのAIショッピング体験を最適化する動きも進む可能性がある。モバイルでのAI活用が普及すれば、より直感的でスムーズな購買プロセスが実現し、消費者の購買率向上につながることが期待される。今後、AIがどのようにEC市場を再構築していくのか、引き続き注視する必要がある。

Source:Quartz