MetaがInstagramにおいて、AIによるコメント自動生成機能のテストを進めていることが明らかになった。アプリ研究者のジョナ・マンザーノ氏がThreadsやTikTokで公開した情報によると、一部のユーザーのコメント入力欄には「Write with Meta AI」と表示され、AIが写真の内容を分析した上で、投稿者に適したコメントを提案する仕組みとなっている。
動画で紹介されたコメント例には、「かわいいリビングルームのセットアップ!」や「このカジュアルな雰囲気がいいね!」といった表現が含まれ、無難で機械的な印象が拭えない。SNS上での人間らしい交流が減少するとの懸念も浮上しているが、Metaは本件に関するコメントを控えている。
この機能の導入により、ソーシャルメディアの在り方がどのように変化するのか、今後の展開が注目される。
MetaがテストするAIコメント機能の仕組みとその狙い

MetaがInstagramに導入を試みるAIコメント機能は、「Write with Meta AI」という名称で、一部ユーザーを対象にテストが行われている。アプリ研究者のジョナ・マンザーノ氏が公開した情報によれば、この機能は投稿に関連したコメントを自動生成し、ユーザーが編集や選択を行うことで、簡単に投稿できる仕組みとなっている。
MetaのAIは、投稿された写真の内容を解析し、顔の特徴やシーンの情報を元にコメントを作成するという。
実際のデモンストレーションでは、「かわいいリビングルームのセットアップ!」や「グレーのキャップがカッコいい!」といったコメントが生成されており、視覚情報をもとに適切な表現が選ばれていることが確認された。ただし、これらのコメントは一般的なフレーズにとどまり、個性的な反応とは言い難い。
Metaがこの機能を導入する狙いについては、エンゲージメントの向上やユーザーの負担軽減といった可能性が考えられる。長文のコメント作成を避けるユーザーにとって、AIが手軽に適切な表現を提案することは利便性の向上につながるだろう。
しかし、どこまで個々の投稿者の意図を反映できるのか、また、機械的なやり取りが増えることでコミュニケーションの質が変化するのではないかという点については議論の余地がある。
AIコメント導入がもたらすSNSの変化とその影響
MetaがInstagramにAIによるコメント機能を搭載することは、SNSの本質的な在り方を変える可能性がある。これまでコメントは、投稿に対する個々の反応や感想を伝える手段であり、そこには発信者と受信者の間で生まれる独自のコミュニケーションがあった。しかし、AIが生成したコメントが増加することで、人間同士の対話の価値が薄れる懸念もある。
特にSNSは企業やインフルエンサーにとって重要なマーケティングツールでもあり、AIが生み出すコメントが広告やブランド戦略に利用される可能性もある。仮に自動生成されたコメントがエンゲージメントを押し上げる要因となれば、企業アカウントがAIコメントを積極的に活用する場面が増えるかもしれない。これにより、一般ユーザーのフィードがAI主導のやり取りに埋め尽くされるような事態も考えられる。
また、SNSの利用者は、AIによるコミュニケーションにどこまで価値を感じるかが問われる。自分の投稿に寄せられたコメントが本当に人の手によるものなのか、それともAIが自動で作成したものなのか判別が難しくなれば、交流の実感が希薄になり、SNSの本来の役割に疑問を抱く人も出てくるだろう。
Metaがどのような形でこの機能を正式導入するかによって、SNSのあり方に大きな影響を与えることは間違いない。
Metaの沈黙が示すSNSの未来像
現在、MetaはAIコメント機能の導入に関する公式な見解を示していない。Mashableがコメントを求めたものの、Metaはこれに応じておらず、正式な導入時期や今後の展開についても明らかにされていない。こうした沈黙は、Metaがまだ試験段階にあり、ユーザーの反応を慎重に見極めていることを示唆している。
AIが生成するコメントが、実際のユーザー体験にどのような影響を与えるのかは未知数だ。利便性が向上する一方で、コメント欄が機械的なやり取りの場と化すリスクもある。また、SNS運営企業がAIを活用してユーザーの行動を最適化しようとする動きは今後も加速すると考えられる。Instagramに限らず、他のプラットフォームにも同様の機能が導入される可能性は高い。
MetaのAI技術は日々進化を遂げており、今後のアップデート次第ではより洗練されたコメント生成が可能になるかもしれない。しかし、その一方で「人間らしさ」が損なわれることへの懸念も根強い。SNSの在り方がAIによって変化しつつある今、ユーザーは単なる受け手ではなく、SNSの未来を形作る存在として、この流れをどう捉えるべきかが問われている。
Source:Mashable