ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、日本の五大商社への投資をさらに拡大した。日本の金融当局の開示によると、三菱商事、三井物産、丸紅、住友商事、伊藤忠商事の持ち株比率を一斉に引き上げた。これにより、同社の総保有額は2024年末時点で約235億ドルに達した。

一方、米国市場では2024年に総額1340億ドルの株式を売却し、現金保有額は3342億ドルに増加。特にトランプ大統領の関税政策が市場の不安定要因となり、ナスダックやS&P500が急落する中、バフェットは依然として大規模買収には慎重な姿勢を見せている。

バークシャーは2019年から日本の商社株を取得しており、バフェット自身も「これらの企業は多角的な事業を展開し、バークシャーに近い」と評価。後継者グレッグ・エーベルも長期保有の意向を示しており、今後の協力関係の深化が注目される。

バークシャー・ハサウェイ、日本の五大商社への出資比率を一斉に引き上げ

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、日本の五大商社への出資を拡大したことが、日本の金融当局の開示により明らかになった。三菱商事の持ち株比率は8.31%から9.67%へ、三井物産は8.09%から9.82%へ、丸紅は8.3%から9.3%へ、住友商事は8.23%から9.29%へ、伊藤忠商事は7.47%から8.53%へそれぞれ引き上げられた。

これらの企業は、国内外の多岐にわたる事業を展開しており、バフェット自身が「バークシャー・ハサウェイと類似した特性を持つ」と評価している。2019年から始まった投資は段階的に増額され、現在では総保有額が235億ドルに達する。この動きは、米国市場が急落する中で、日本市場への注力を強める戦略の一環と考えられる。

2024年にはバークシャーが米国株を大幅に売却し、1340億ドルの資産を整理する一方、現金保有額は3342億ドルに増加している。米国市場の不安定さが続く中、日本の商社株の長期保有がより安定した収益確保の手段と見なされている可能性がある。

米国市場の不安定化とバフェットの慎重な投資姿勢

バークシャー・ハサウェイが米国株の売却を進める背景には、トランプ大統領の関税政策が影響している。2025年2月以降、米国は中国、カナダ、メキシコのほか、鉄鋼やアルミニウム製品に対する関税を引き上げた。これにより、ナスダックは調整局面に入り、S&P500も一時的に10%近い下落を記録した。市場の不安が続く中、バフェットは新たな大規模投資には慎重な姿勢を維持している。

バークシャーは過去1年間で売却した株式の総額が1340億ドルに達し、これにより現金保有額は過去最高水準となる3342億ドルに達した。しかし、アナリストは「資産価格はまだバフェットが積極的に投資する水準まで下がっていない」と指摘している。バフェットは短期的な市場の変動を狙うのではなく、「恐怖が市場を支配し、リスクとリターンのバランスが明確に優位に働くとき」に投資を実行する姿勢を貫いている。

グレッグ・エーベルが後継者として指名される中、バークシャーは引き続き日本市場への投資を拡大する可能性がある。長期的な資本配分の視点から、日本の商社株が適切な投資対象として選ばれていることは、米国市場の変動リスクを回避し、安定した成長を確保する戦略の一環であると考えられる。

日本の商社株への長期投資と今後の展望

バフェットは、日本の五大商社への投資について「適切な配当政策、合理的な自社株買い、そして米国企業と比較して控えめな経営者報酬」を評価している。これらの要素が、バークシャー・ハサウェイの投資哲学と一致している点が、今回の投資拡大につながったと考えられる。2024年末にはバークシャーと商社側が10%の持ち株比率制限を超える合意に達しており、さらなる出資拡大の可能性も否定できない。

商社はエネルギー、食品、金属、化学、インフラなど多岐にわたる事業を展開し、国際市場での影響力も大きい。特に、資源価格の変動や地政学リスクの影響を受けやすい分野であるが、安定したキャッシュフローを生み出す構造が強みとなる。バフェットはこれらの企業が持つ長期的な競争優位性を重視しており、短期的な市場変動よりも持続的な成長を期待しているとみられる。

今後、バークシャーが商社株の保有比率をさらに引き上げるかどうかは、米国市場の状況や世界経済の動向に左右されるだろう。ただし、バフェットがすでに「長期的に日本市場と協力する」と発言していることから、日本の商社がバークシャーの国際戦略の重要な一角を占めていることは明白である。

Source:yahoo finance