システム情報ツール「CPU-Z」がバージョン2.15へとアップデートされ、AMDのStrix HaloおよびKrackan APU、Radeon RX 9070シリーズ、NVIDIAのGeForce RTX 5070 Ti、さらにEPYC 9000シリーズCPUが新たにサポート対象に加わった。加えて、IntelのArrow Lake-Hプロセッサの対応も強化され、最新CPUの詳細なスペック確認が可能となった。

今回のアップデートでは、GPUのROP(Raster Operation Pipelines)数を可視化する機能が新たに実装された。これは一部のGPUにおいてROP数の仕様と実際の動作が異なる問題が指摘されていたことを受けた改良であり、特にグラフィックカードの性能を正確に把握するための重要な追加機能となる。

また、新たに「Validation Statistics」ページが導入され、システムのハードウェア構成の検証データをより詳細に取得できるようになった。これにより、最新のAMDおよびNVIDIA製GPUの仕様把握が容易になり、エンスージアストや技術者にとって貴重なツールとなるだろう。

CPU-Z 2.15の主な対応範囲 AMD・NVIDIAの最新シリコンを網羅

CPU-Z 2.15では、AMDおよびNVIDIAの最新製品が幅広くサポートされた。AMDでは、Ryzen AI Max 300シリーズ「Strix Halo」APUやRyzen AI 340/350「Krackan」APUが新たに対応リストに追加され、AI処理を重視したAPUのラインナップが明確になった。GPUに関しては、RDNA 4アーキテクチャを採用したRadeon RX 9070 XTおよびRX 9070が正式に対応し、最新のグラフィックスカードの仕様を詳細に確認できるようになった。

一方、NVIDIAでは、Blackwellアーキテクチャを採用したGeForce RTX 5070 TiおよびRTX 5070が新たにサポートされた。これにより、次世代GeForceシリーズの仕様が可視化され、性能評価に役立つ情報が得られるようになった。さらに、AMDのサーバー向けプロセッサであるEPYC 9000シリーズも全ラインナップで対応し、最大192コア・384スレッドを誇るEPYC 9965を含め、データセンター向けの高度な計算能力を詳細に分析できるようになった。

このように、CPU-Z 2.15のアップデートは、次世代プロセッサとGPUのサポートを強化するものであり、開発者やハードウェア愛好家にとって重要な進化といえる。各シリコンの仕様が明らかになったことで、今後の市場動向を見極める材料となるだろう。

GPUのROP数可視化機能の追加 背景にある技術的課題

今回のアップデートでは、GPUのROP(Raster Operation Pipelines)数を可視化する新機能が追加された。ROPは、レンダリング処理の最終段階を担当するユニットであり、GPUの描画性能に直結する重要な要素である。特に高解像度のゲームやプロフェッショナル用途のレンダリング作業ではROPの数が大きな影響を与えるため、ユーザーにとって有益な情報となる。

この機能の追加には、過去に指摘されていたROP数の不一致問題が背景にある。特定のGPUモデルでは、仕様上のROP数と実際の動作時のROP数が異なるケースが確認されており、性能評価の際に混乱を招いていた。CPU-Z 2.15では、実際のROP数を正確に表示できるようになり、仕様との差異を明確に把握できるようになった。この改良により、ユーザーはGPUの性能をより正確に評価し、適切な製品選択が可能になる。

ROPの数は一般的にGPUのスペックシートでは公開されているが、特定の環境やBIOS設定によって変更される場合もあるため、実際の動作状況を確認できる機能は非常に有益である。特にオーバークロックやカスタムBIOSを利用するユーザーにとっては、GPUのパフォーマンスを適切に把握するための強力なツールとなるだろう。

新機能「Validation Statistics」の意義と今後の影響

CPU-Z 2.15では、新たに「Validation Statistics」ページが追加された。これにより、ユーザーはシステムのハードウェア構成をより詳細に検証し、CPUやGPUの仕様を統計的に分析することが可能になった。特に、オーバークロック環境下での安定性検証や、各種パーツの動作状況の記録において有用な機能となる。

これまでCPU-Zは、主にCPUやメモリの基本情報を取得するツールとして広く使用されていたが、今回の統計機能の追加により、システム全体の分析ツールへと進化したといえる。特に、複数のハードウェア構成を比較しながら性能評価を行うユーザーにとって、この機能は実用的な価値を持つ。

この新機能の追加により、CPU-Zは単なる情報取得ツールを超え、より高度なハードウェア解析が可能なツールとしての地位を確立する可能性がある。今後、さらなる改良が加えられれば、ベンチマークやシステム最適化の分野でも重要な役割を果たすことになるだろう。

Source:TweakTown