アルファベット(GOOGL)は、クラウドセキュリティ強化を目的に、ニューヨークのスタートアップWizを320億ドルで買収することを発表した。これは同社にとって過去最大規模の買収であり、クラウドコンピューティング市場における競争力向上を狙った戦略の一環とみられる。

グーグルクラウドの成長が鈍化する中、今回の買収によりセキュリティ面の優位性が向上し、AWSやAzureとの差別化要因となる可能性がある。また、Wedbush証券のアナリストは、Wizの技術を活用することでグーグルがサイバーセキュリティ分野において新たな収益源を確立できるとの見方を示している。

現在、グーグルの株価は市場の不透明感を背景に年初来で15%以上下落しているが、アナリストは今後の成長性を評価し、「アウトパフォーム」の格付けを付与している。ウォール街では強気の見解が支配的であり、目標株価は現在の水準から約40%の上昇余地があると予測されている。


アルファベットのWiz買収がもたらす影響 サイバーセキュリティ市場への進出

アルファベットは320億ドルという巨額を投じ、クラウドセキュリティのスタートアップWizを買収した。この取引は、同社のクラウドコンピューティング事業の強化を目的とし、AWSやAzureといった競合との差別化を図る狙いがある。特に、企業が求める高度なセキュリティ機能を補強し、法人市場での優位性を確立することが期待されている。

Wizはクラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム(CNAPP)の分野で急成長を遂げた企業であり、すでに市場の主要プレイヤーの一角を占めている。クラウド上でのセキュリティリスクが拡大する中、Wizの技術を取り込むことで、グーグルクラウドは競争力をさらに高めることができるとみられる。

この買収によって、アルファベットはサイバーセキュリティ市場にも本格参入する可能性がある。クラウド環境の安全性が企業の重要課題となる中、同社のサービスはより多くの企業にとって魅力的な選択肢となり得る。セキュリティを軸としたサービスの提供により、クラウド市場での存在感を一層高めることができるかが注目される。

グーグル株の行方 AI銘柄としての魅力と市場の評価

3月18日時点でグーグルの株価は2.7%下落しているが、その背景には米国のハイテク株全体にかかる関税の影響や経済的な不透明感がある。年初来で15%以上の下落となっているものの、AI分野への積極投資を進めるアルファベットの戦略が市場で評価されることで、株価の回復につながる可能性が指摘されている。

Wedbush証券のダン・アイヴス氏は、Wizの買収によってグーグルが10億ドル規模のサイバーセキュリティ市場に参入できると述べている。これにより、クラウドコンピューティングの成長を後押しし、同社の長期的な収益拡大につながるとの見方が示されている。また、目標株価は220ドルと設定されており、現在の水準から約40%の上昇余地があるとされる。

一方で、市場の不確実性は依然として高く、短期的な株価の変動リスクも無視できない。ただし、アルファベットはAI関連の技術革新を続けており、成長性の高い分野に資本を投下する戦略を継続している。中長期的には、クラウドとAIの融合が進むことで、株価の上昇基調が期待される局面にあるといえる。

Source: Barchart