ナイキ(NKE)は3月20日に2025会計年度第3四半期の決算を発表する。サプライチェーンの混乱やインフレ圧力により業績は低迷していたが、直販と卸売のバランスを調整する新戦略が奏功するかが焦点だ。
ジェフリーズのアナリストはナイキ株を「買い」に引き上げ、目標株価を115ドルと設定。これは市場平均を50%以上上回る。一方で短期的な業績悪化を懸念する見方もある。
ウォール街の評価は「適度な買い」となっており、今後の決算次第で株価の方向性が定まる可能性が高い。長期投資家にとっては、ブランド力と成長性を考慮した判断が求められる。
ナイキの業績低迷と経営戦略の転換点

ナイキは2025会計年度の最初の2四半期で大幅な売上減少に直面した。第1四半期の売上高は前年同期比10%減、第2四半期も8%減となり、総額124億ドルにとどまった。経営陣はこれを受け、デジタル販売に過度に依存した戦略が市場環境の変化に適応しきれなかったことを指摘している。
新CEOのエリオット・ヒル氏は、ナイキ・ダイレクト(直販)と卸売のバランスを見直し、パートナー企業との関係強化を推進すると発表した。また、大幅な値引き販売を抑え、プレミアム価格戦略を採用することでブランド価値の維持を図る。この方針は短期的な売上回復よりも、中長期的な利益の最大化を重視したものと考えられる。
フットロッカーとの関係も重要な要素となる。フットロッカーのCEOメアリー・ディロン氏は、ナイキとの関係が「完全に再構築された」とし、特に多文化市場への対応を強化すると強調した。フットロッカーの売上の60%以上をナイキが占める状況を考慮すると、両社の連携が業績回復のカギとなる可能性がある。
アナリストの評価が分かれる理由
ナイキ株について、投資家の間で意見が分かれる理由は、短期の業績悪化と長期の成長戦略が交錯しているためだ。ジェフリーズのアナリストは、同社の戦略転換を評価し、目標株価を115ドルに設定した。一方、TDカウエンのジョン・カーナン氏は短期的なリスクを懸念し、「ホールド」評価を付けた。
ナイキの成長ドライバーの一つであるジョーダンブランドは好調を維持しており、新製品も市場で順調な売れ行きを見せている。しかし、サプライチェーンの混乱やインフレ圧力が続く中で、売上の回復には時間がかかる可能性が高い。2025会計年度の通年予測では、売上高が前年同期比10.4%減、EPS(1株当たり利益)は47.3%減と見込まれており、依然として厳しい状況が続く。
ウォール街の評価は「適度な買い」となっており、アナリスト33人のうち17人が「強い買い」、13人が「ホールド」、2人が「強い売り」としている。このように、ナイキ株に対する見解は分かれており、投資家は短期の業績動向と長期の成長可能性を天秤にかけながら判断する必要がある。
長期投資家にとってのナイキの魅力
ナイキは単なる成長株ではなく、株主還元の面でも魅力を持つ企業である。現在の予想配当利回りは2.2%と、消費者向け株の平均1.89%を上回る水準にある。また、23年連続で増配しており、今後「配当貴族(Dividend Aristocrats)」に加わる可能性も高い。
さらに、ナイキは180億ドル規模の自社株買いプログラムを進めており、株主還元の姿勢を鮮明にしている。第2四半期には5億5700万ドルの配当を支払い、11億ドル分の自社株を買い戻した。こうした施策は、短期的な業績のブレにかかわらず、安定したリターンを求める長期投資家にとって魅力的なポイントとなる。
ただし、現在の株価は2026年の予想利益の31倍で取引されており、バリュエーションの観点からはやや割高に見える。一方で、ジェフリーズのアナリストは「ナイキは評価の底値に近づいている」とし、積極的な投資を推奨している。短期的なボラティリティを許容できる投資家にとっては、ブランド力と成長戦略を考慮し、長期的な視点での投資判断が求められる局面といえる。
Source: Barchart.com