Microsoftは、Snapdragon(Armベース)のプロセッサを搭載したCopilot+ PC向けに、Windows 11の音声コマンド機能を強化するアップデートをテストしている。新たな「Voice Access」機能では、より自然な言葉でPC操作が可能になり、特定のフレーズを正確に言わなくても認識されるようになる。
さらに、中国語(簡体字・繁体字)への対応も進められており、音声操作の利便性が向上する見込みだ。一方、Microsoftが開発を進める「Recall」機能も調整され、データの処理がローカルデバイス上で行われるよう変更されたことで、セキュリティ面の強化が図られた。
現時点では、この新機能は一部のWindows Insiderユーザーのみが利用できるが、今後の正式リリースに向けた改良が進められている。IntelやAMDのプロセッサを搭載した他のCopilot+ PCにも適用されるかは不明だが、音声コマンドの進化がPCの操作性を大きく変える可能性がある。
Windows 11のVoice Accessが大幅進化 音声コマンドの柔軟性向上へ

Microsoftは、Windows 11の音声コマンド機能「Voice Access」を強化し、より自然な言葉でPCを操作できるようにするアップデートを開始した。従来の仕様では、音声操作には決まったフレーズを正確に発声する必要があったが、新しいバージョンでは異なる表現でも認識されるようになる。
この新機能は、Snapdragon(Armベース)のプロセッサを搭載したCopilot+ PC向けに提供されており、Devチャネルのプレビュービルド26120.3576でテストが行われている。例えば、「Chromeを開く」という命令しか受け付けなかった従来の仕様に対し、「Chromeブラウザを開いてほしい」や「Chromeを起動」などの表現にも対応する。ユーザーが自然な言葉で操作できるようになることで、音声コマンドの利便性が大幅に向上する見込みだ。
加えて、今回のアップデートでは中国語(簡体字・繁体字)への対応も進められた。これにより、中国語圏のユーザーも音声操作を活用できるようになり、Windows 11の多言語対応がさらに拡充された。現在のところ、一部のWindows Insiderユーザーが試験的に利用可能な状態だが、今後の展開次第では、より多くの環境で導入が進む可能性がある。
Recall機能の変更点とセキュリティ面での改善
今回のプレビュービルドでは、Microsoftが開発を進める「Recall」機能にも変更が加えられている。Recallは、PCの画面情報をスナップショットとして保存し、過去の作業内容を記録する機能だが、これまで一部の環境でスナップショットが正しく保存されない問題が発生していた。今回のアップデートでは、この不具合が修正され、より安定した動作が期待される。
また、「Click to Do」と呼ばれる機能の動作も見直された。この機能では、画面上のテキストをクリックすることで、関連する操作を実行できるが、これまでは一部の処理がクラウド上で行われていた。しかし、新しい仕様では、データ処理をローカルデバイス上で完結させることで、クラウドに送信される情報を最小限に抑えるようになった。これにより、ユーザーのデータが外部に流出するリスクが低減され、セキュリティ面での改善が期待される。
これらの変更は、Microsoftがユーザーデータの安全性を重視していることを示している。特に、Recallのように作業履歴を保存する機能は、プライバシーへの影響が大きいため、データ管理の透明性やユーザーへのコントロールを強化することが求められる。今後もMicrosoftがどのようにこの機能を進化させていくのかが注目される。
音声操作の進化がもたらす新たな可能性
音声コマンドの進化は、PCの使い方を大きく変える可能性がある。これまで音声操作は、正確なフレーズを覚えなければならず、手軽に使えるものではなかった。しかし、今回のように自然な言葉で命令が通るようになれば、日常的に音声操作を活用するユーザーが増えることが考えられる。
また、手を使わずにPCを操作できる音声コマンドは、アクセシビリティの面でも重要な役割を果たす。特定のキーボード操作が難しいユーザーにとって、音声による操作性の向上は、PC利用の自由度を大きく広げる要因となる。さらに、スマートフォンの音声アシスタントに慣れたユーザーにとっても、PCで同じような操作が可能になることは利便性の向上につながるだろう。
ただし、現時点ではSnapdragon搭載のCopilot+ PCに限定されている点が課題だ。今後、IntelやAMDのプロセッサを搭載したデバイスにも展開されるかは不透明だが、より多くのPCに対応すれば、この新しい操作スタイルが一般的なものとなる可能性がある。音声操作の精度がさらに向上し、多くのデバイスで利用できるようになれば、PCの操作方法そのものが大きく変わる時代が訪れるかもしれない。
Source:TechRadar