中国のEV大手BYDが、わずか5分で400kmの航続距離を確保できる新技術「スーパーeプラットフォーム」を発表した。この革新的な充電技術は、最大15分の充電で270kmを走行可能とするテスラのシステムを大きく上回る性能を誇る。
この発表を受け、テスラの株価は下落を続け、1月中旬以降の下げ幅は45%を超えた。特に、欧州・中国市場での販売がそれぞれ46%、49%減少するなど、テスラの市場環境は厳しさを増している。一方で、ウォール街の一部ではテスラ株の下落を「買いの好機」とみる動きもあり、市場の見方は割れている。
BYDの新技術が示すEV充電の新たな基準

BYDは最新の「スーパーeプラットフォーム」を発表し、EV充電技術の新たな基準を打ち立てた。このシステムはわずか5分間で400kmの航続距離を確保することを可能とし、従来の充電時間の概念を覆すものとなる。対照的に、テスラのスーパーチャージャーは15分で270kmの航続距離を実現しており、BYDの技術が性能面で大きく優位に立つことは明らかである。
この技術が実用化されれば、EVの普及における最大の障壁の一つである充電時間の長さが解消されることになる。特に都市部の消費者や長距離移動を頻繁に行うユーザーにとって、充電時間の短縮は決定的な要因となり得る。これにより、BYDは既存のEVメーカーとの競争において優位な立場を築く可能性が高い。
また、BYDは中国国内のみならず、欧州やその他の海外市場でも販売を拡大しており、この技術の導入が進めばテスラを含む他社の市場シェアに直接影響を及ぼすことは避けられない。今後、他のEVメーカーがどのような対抗策を打ち出すのかが焦点となる。
テスラの販売低迷と市場環境の変化
テスラは2024年2月の販売データで、米国市場で6%減少、欧州市場では46%、中国市場では49%の販売減少を記録した。特に中国市場での落ち込みが顕著であり、これは現地メーカーとの競争激化が要因となっている。BYDやNIOなどの中国勢は価格競争を仕掛けると同時に、ロボタクシー市場への投資を加速させており、テスラにとって逆風が強まっている。
また、欧州市場ではEV補助金の見直しや経済環境の変化が影響し、消費者の購入意欲が鈍化している。これに対し、米国市場では依然としてEV需要は堅調とされるものの、テスラの販売は振るわない。イーロン・マスクの政治的発言が消費者心理に影響を与え、一部の支持層を失っているとの見方もある。
こうした状況を受け、RBCのトム・ナラヤン氏はテスラの目標株価を引き下げる判断を下した。しかし、同氏は同時に「販売減速の影響は誇張されている」との見解も示しており、米国市場の回復やFSD(完全自動運転)ソフトウェアの普及が今後の成長の鍵となると指摘している。
投資家の評価は分かれるもテスラ株の上昇余地は依然大きい
テスラの株価は1月中旬以降、45%以上の下落を記録している。BYDの技術発表がさらなる売り圧力となる中、投資家の間ではテスラ株の評価が分かれている。
ウォール街のアナリストの中には、現在の株価水準を「買いの好機」と捉える見方もあり、RBCは目標株価を320ドルと設定し、現在の水準から約40%の上昇余地があると指摘している。また、市場全体の平均目標株価は346ドルとされ、これは50%以上の上昇を示唆する。
ただし、今後の課題として、テスラのFSDソフトウェアの月額料金の引き下げが挙げられる。2024年には100ドルだった価格が2026年には50ドルに引き下げられる可能性があるとされ、収益モデルの変化が株価の行方を左右する要因となる。こうした不透明要素を踏まえ、投資家は慎重な判断を迫られている。
Source: Barchart.com