ARK Investの創設者キャシー・ウッドは、ミームコイン市場に対して厳しい見解を示し、多くのトークンが最終的に価値を失うと警告した。彼女は、ミームコインの多くがセレブの宣伝に依存し、投機的な性質を持つことを指摘。
特に、ブロックチェーン技術と人工知能の発展により数多くのデジタル資産が誕生しているが、それらの持続性には疑問が残るとしている。一方で、米国証券取引委員会(SEC)は、ほとんどのミームコインが証券には該当しないとの見解を示し、規制の枠外にあることを明確にした。
この決定は市場にとって強気のシグナルと受け止められる可能性があるが、長期的な価値の不確実性は依然として残る。ドージコインやシバイヌなどの主要ミームコインは短期的に上昇の可能性を示しているものの、長期的な安定性には慎重な見極めが求められる。
キャシー・ウッドが警告するミームコインの危うい構造 投機依存の限界

キャシー・ウッドは、ミームコイン市場の持続性に対して強い疑問を投げかけた。その背景には、これらのトークンが実需に基づかず、セレブのプロモーションやSNS上の一時的な話題性に依存している点がある。特に、特定の著名人の発言が価格に大きな影響を与える現状は、従来の金融市場においても極めて不安定な投資対象とされる要素である。
加えて、ウッドはブロックチェーン技術と人工知能の進化によって、大量のデジタル資産が生成されていることに言及。だが、これらの多くは技術的な優位性や独自のユースケースを持たず、単なる投機対象に過ぎないと指摘する。
投資家が短期間の利益を狙ってミームコインを売買することで、市場のボラティリティはさらに高まり、バブル崩壊時には多くのトークンが価値を失う可能性がある。実際に、過去の暗号資産市場では、多くのミームコインが短期間で急騰した後に暴落し、ほとんど取引されなくなる事例が相次いでいる。
市場参加者の期待感とセンチメントが価格形成の主要因となるため、持続的な価値を生む資産としての信頼性は低い。ウッドの指摘は、こうした市場構造の脆弱性を的確に捉えたものであり、ミームコインへの長期的な投資には慎重な判断が求められる。
SECの規制方針とミームコイン市場への影響
米国証券取引委員会(SEC)は2025年2月27日、「ほとんどのミームコインは証券に該当しない」との見解を示した。これにより、発行者や取引プラットフォームはSECへの登録義務を負わないことが明確になった。この判断は、規制強化を懸念していた暗号資産コミュニティにとってポジティブな要素となり得る。
特に、取引所におけるミームコインの取り扱いが維持されやすくなり、市場流動性の確保につながる可能性がある。しかし、証券に該当しないという判断は、ミームコインが安全な資産であることを意味するものではない。SECが監視の手を緩めることで、詐欺的なプロジェクトが増加し、市場の信頼性が損なわれるリスクも存在する。
特に、プロジェクトの透明性が低く、開発者の匿名性が高いミームコインは、投資家保護の観点から不安要素が残る。過去には、流動性を確保した後に開発者が売り抜け、プロジェクトが放棄される「ラグプル」と呼ばれる詐欺事件が多発しており、そのリスクは依然として消えていない。
また、規制の枠外にあることで、従来の金融市場と異なり、法的な保護を受ける手段が限られる点にも注意が必要である。SECの判断が短期的に市場にプラスに作用する可能性はあるものの、長期的には規制の在り方が再び議論される可能性も否定できない。
主要ミームコインの価格動向と市場の不透明性
ドージコインやシバイヌなどの主要ミームコインは、依然として市場の注目を集めている。特に、イーロン・マスクがドージコインを支持する発言を繰り返していることから、価格が大きく変動する局面が続いている。現在、ドージコインは$0.16の水準を維持しており、このラインを突破できればさらなる上昇の可能性が指摘されている。
一方、シバイヌ(SHIB)はエコシステムの拡大やトークンのバーン(焼却)により、4月までに500%の価格上昇が期待されているとする分析もある。しかし、ミームコイン市場はセンチメントに左右されやすく、これらの予測は市場心理の変化によって大きく影響を受ける。
たとえば、2021年のミームコインブームでは急激な価格上昇が見られたものの、翌年には暴落し、多くの投資家が損失を被った事例もある。また、カエルをモチーフにした「PEPE」トークンは直近で40%の価格上昇を記録しており、今後さらに50%〜60%の値上がりを期待する投資家もいる。
しかし、短期的な急騰は投機的な資金流入によるものが多く、安定した成長とは言い難い。こうした状況を考慮すると、ミームコインへの投資は依然としてリスクが高く、慎重な判断が求められる。
Source:CoinGape