アップル(AAPL)の株価は年初来で約15%下落している。iPhoneの売上減少やAI分野での競争力低下、関税問題などが重なり、市場の懸念を招いている。しかし、同社の2025年第1四半期決算は売上高1243億ドル、EPS2.40ドルと市場予想を上回り、8四半期連続で予測を超える成長を示した。

製品エコシステムの強さに加え、折りたたみスマホやスリムな「iPhone 17」の登場が期待されており、サービス部門の成長も続く。中国市場のシェア維持や医療技術分野への投資も今後の成長要因となりうる。アナリストは平均250.83ドルの目標株価を設定し、18%の上昇余地を見込んでいる。短期的な調整局面ではあるが、長期的な視点では買いの好機となる可能性が高い。

アップル株下落の背景 業績好調でも市場の不安が拭えない

アップル(AAPL)の株価は年初来で約15%下落しているが、同社の業績自体は依然として堅調である。2025年第1四半期の売上高は1243億ドルと前年同期比4%増、1株当たり利益(EPS)は2.40ドルと市場予想の2.35ドルを上回った。製品部門の売上も前年同期比1.55%増加し、特にサービス部門は前年比13.9%増の264.3億ドルと堅調に推移している。

しかし、投資家の不安を招いた要因は、iPhoneの売上減少や人工知能(AI)分野での競争力の遅れにある。スマートフォン市場の成長鈍化が続く中、アップルは折りたたみスマホやスリムな「iPhone 17」などの新製品を準備しているが、これが市場でどの程度のインパクトを持つかは不透明だ。また、中国市場では2024年の出荷台数が前年比9.6%減少しており、競争が激化している。

一方で、アップルの財務基盤は強固であり、営業キャッシュフローは300億ドルを維持し、現金保有額も303億ドルに上る。短期負債が110億ドルであることを考えれば、財務面でのリスクは低い。これらの要素を踏まえると、株価の短期的な下落は市場心理の影響が大きく、長期的な成長の見通しには依然として強みがあると言える。

アップルの成長戦略 サービス部門と新技術への投資が鍵

アップルの成長を支える要素の一つは、ハードウェアとソフトウェアが統合された強固なエコシステムである。現在、同社のアクティブデバイスは20億台を超え、ユーザーのロイヤルティは極めて高い。特に、サービス部門の成長は著しく、直近の四半期では売上が14%増加し、利益率も73.9%に上昇している。Apple Music、iCloud、Apple Payなどのサービスは継続的な収益を生み出し、ハードウェアの販売に依存しない安定した事業基盤を形成している。

新技術への投資も成長の鍵となる。M4 MacBook Airは、従来のM1モデルと比較して2倍、Intelプロセッサ搭載モデルと比較すると最大23倍の性能向上を実現しており、今後のMac製品の競争力を高める要因となる。さらに、医療技術分野への投資も注目されており、ウェアラブルデバイスの健康管理機能の強化が進められている。

ただし、AI分野における競争力の遅れは課題である。マイクロソフトやグーグルがAIを前面に押し出した戦略を展開する中、アップルは独自のAI戦略をまだ明確に示していない。今後、AI技術をどのように製品に統合し、競争優位性を確立するかが、成長のカギとなるだろう。

株価下落は買いの好機か アナリストが示す見通し

アナリストの見解では、アップルの現在の株価は魅力的な投資機会である可能性がある。Melius Researchのアナリストは、2025年の調整局面はアップル株を割安な水準で購入できる好機であると指摘している。実際、36名のアナリストの評価では「適度な買い(Moderate Buy)」が多数を占め、平均目標株価は250.83ドルと、現在の株価から18%の上昇余地があると見られている。

市場の不安要素として、iPhoneの売上減少や中国市場での競争激化があるものの、アップルのサービス部門の成長や新製品への期待がこれを補う可能性が高い。特に、低価格帯のiPhone 16eの投入や、折りたたみスマホの開発など、新たな市場開拓が進められている点は注目に値する。

短期的には株価の変動が続く可能性があるが、アップルは財務的にも強固であり、長期的な視点では安定した成長が見込まれる。AI分野の競争力強化や中国市場でのシェア維持が鍵となるが、投資家にとっては現在の下落を好機と捉える選択肢も考えられるだろう。

Source: Barchart