コンピューター支援設計(CAD)ソフトウェア大手のAutodesk(ADSK)が、今後12か月で最大50%の株価上昇を遂げる可能性があるとアナリストから高評価を受けている。同社は建築・エンジニアリング・製造業界向けに革新的なソリューションを提供し、特にAutoCADを中心としたサブスクリプションモデルの安定性が強みとなっている。
2025年度第4四半期決算では、総収益16.4億ドル(前年比12%増)を記録し、市場予想を上回る堅調な成長を示した。さらに、AIとクラウドへの投資強化に伴い、従業員の9%削減を含むリストラを実施し、収益性の向上を図っている。
26人のアナリストのうち18人が「強い買い」と評価し、目標株価の平均は336.92ドル、最高値は400ドルとされる。長期的にはAIの進化やクラウド市場拡大がさらなる成長を促し、投資家にとって魅力的な銘柄となる可能性が高い。
Autodeskの成長を支えるサブスクリプションモデルと財務の安定性

Autodeskは、サブスクリプションモデルを軸にした収益構造を確立し、継続的な成長を遂げている。2025年度第4四半期の総収益は16.4億ドル(前年比12%増)となり、調整後EPSは2.29ドル(9.6%増)と安定的な利益成長を示した。また、請求総額は21.1億ドル(23%増)、サブスクリプション収益は総収益の92%以上を占め、リカーリング・レベニューの強固な基盤が形成されている。
この収益モデルの強みは、景気の変動に対して比較的安定したキャッシュフローを確保できる点にある。加えて、12か月以内の予測収益(RPO)は44.6億ドルに達しており、今後の収益予見性が高いことを示唆している。特に、主力製品であるAutoCADに加え、RevitやFusion 360、BIM Collaborate Proなどのクラウドベースのソリューションが好調で、顧客基盤の拡大が続いている。
市場では、こうした財務の安定性がAutodesk株の評価を下支えすると見られている。一方で、同社の株価は年初から8.6%下落しており、長期投資の観点からは割安と捉える向きもある。安定した収益基盤を持つ企業は、特に不透明な市場環境下での投資妙味が高まる傾向にあり、今後の株価推移が注目される。
AIとクラウド戦略がもたらす成長機会
Autodeskは、AIとクラウド技術の活用を積極的に進め、設計・エンジニアリング業界の変革を主導している。特に、クラウドベースの設計・製造プラットフォームの強化を推進しており、これに伴いリソースの再配分を実施している。その一環として、同社は全従業員の9%にあたる約1,350人の人員削減を発表し、より効率的な経営体制を構築する方針を示している。
この戦略により、Autodeskは業界全体のデジタル化の進展に対応し、クラウド市場の拡大を取り込むことを狙っている。AIを活用した設計の自動化や解析技術の向上は、業務効率の飛躍的な向上を可能にし、建築・エンジニアリング・製造分野における競争力をさらに高めることが期待される。また、企業間のコラボレーションが不可欠な設計業務において、クラウド基盤の強化は不可避の流れとなっている。
こうした動向を受け、市場ではAutodeskの成長余地を高く評価する声が多い。2026年度の業績予想では、総収益69〜69.7億ドル、調整後EPS9.34〜9.67ドルとされ、収益成長率は13%、利益成長率は12.2%と堅調な拡大が見込まれている。AIとクラウドへの積極投資が収益の押し上げ要因となる可能性があり、長期的な成長のドライバーとして期待される。
アナリスト評価と投資判断のポイント
ウォール街のアナリストの間では、Autodesk株に対して強気の見方が広がっている。カバレッジする26人のアナリストのうち18人が「強い買い(Strong Buy)」と評価し、目標株価の平均は336.92ドルと現在価格より25%上昇する余地があると見ている。さらに、最高目標株価は400ドルとされ、50%の上昇可能性が指摘されている。
この評価の背景には、同社の安定した収益構造に加え、AIとクラウド戦略による成長期待がある。特に、2025年度のフリーキャッシュフロー(FCF)は15.7億ドルとされ、2026年度には20.7〜21.75億ドルに増加する見通しで、資本効率の高いビジネスモデルが評価されている。また、建築・製造業界におけるデジタル化の加速が、Autodeskの成長を後押しする要因となる可能性がある。
一方で、AIやクラウド領域の競争は激化しており、市場環境の変動が業績に与える影響は無視できない。また、サブスクリプションモデルによる安定収益が強みであるものの、新規顧客獲得のペースが今後の成長を左右することも指摘されている。現在の株価水準は長期投資家にとって魅力的なエントリーポイントとなる可能性があるが、短期的なボラティリティにも留意する必要がある。
Source:Barchart