Meta Platforms(META)の株価が600ドルを下回り、2025年に入って「マグニフィセント・セブン」の中で最後にマイナス圏へ転落した。直近の高値から二桁の下落率を記録し、投資家の警戒感が高まっている。
この株価下落の背景には、AI事業への巨額投資がある。Metaは2025年の設備投資を600億~650億ドルと見積もり、その大半をAIインフラ強化に充てる計画だ。しかし、こうした投資が即座に利益につながるかどうかは不透明で、市場は慎重な姿勢を崩していない。
一方で、AIによる収益向上の兆しも見える。Metaの「Meta AI」は7億人以上の月間アクティブユーザーを抱え、広告分野でもAI活用が進む。加えて、Ray-Banとのスマートグラス開発や、Llama AIモデルの公開など、競争優位性を築く動きも加速している。
短期的なコスト負担は重いものの、長期的な収益成長の可能性が指摘されるMeta。現在の株価下落は、投資家にとって買いの好機なのか、それともさらなるリスクの前兆なのか。市場の視線が注がれている。
MetaのAI投資が株価に与える影響 巨額支出の先にある成長戦略

Meta Platformsは2025年の設備投資額を600億〜650億ドルと見積もり、その大部分をAIインフラ強化に投じる計画である。この投資は、同社のクラウドコンピューティング能力の向上やデータセンターの拡張、次世代AIモデルの開発を支えるために不可欠なものだ。しかし、この巨額支出が短期的な利益を圧迫することは避けられず、市場では慎重な見方も広がっている。
特に、経済の不透明感が強まる中で、この支出が収益に直結するのか疑問視する声は多い。AIインフラの拡充が中長期的な競争力強化につながるのは間違いないが、投資回収のスピードは未知数だ。広告収益モデルが主要な収入源であるMetaにとって、AI投資がすぐに利益を生み出さなければ、株価への圧力が続く可能性がある。
とはいえ、MetaはすでにAI技術の収益化を進めており、その影響は広告ビジネスの拡大に表れている。AIを活用したターゲティング技術の向上や広告クリエイティブの自動生成が進み、広告主の利用が増加していることがその証左だ。長期的に見れば、AI戦略はMetaにとって競争力を高める要因となるが、投資家はその成否を慎重に見極めている。
AI活用による事業成長 Metaのプラットフォームはどう進化するのか
MetaはAIを活用し、広告事業やプラットフォームの利用時間向上を図っている。たとえば、「Meta AI」は7億人以上の月間アクティブユーザーを持ち、FacebookやInstagramのエンゲージメント向上に寄与している。特にInstagramでは、AIによるコンテンツ推薦の精度向上により、動画の視聴時間が前年同期比で二桁の伸びを記録。Facebookでも同様の傾向が見られ、ユーザーの滞在時間の増加が広告収益に結びついている。
広告分野でもAI活用の成果が顕著に表れている。現在、400万以上の広告主がAI駆動型クリエイティブツールを活用しており、わずか6カ月前の100万件から急増した。動画広告の分野でもAIの導入が進み、多くの広告主が新たな広告フォーマットを試している。こうした流れは、MetaがAIを活用して広告収益を拡大していることを示している。
さらに、Metaはハードウェア分野でもAIを活用した新規事業を展開している。Ray-Banとの提携によるAI搭載スマートグラスはその一例であり、音声アシスタント機能を搭載した製品として注目される。また、オープンソースのLlama AIモデルを通じて、AI技術の普及を加速させる狙いもある。MetaのAI戦略は単なる広告最適化にとどまらず、ユーザー体験の向上や新たな事業機会の創出へと広がっている。
現在の株価下落は買いの好機か 投資家が注視すべきポイント
Metaの株価は600ドルを下回り、直近の高値から二桁の下落率を記録している。この下落の背景には、AI投資への懸念だけでなく、市場全体のリスクオフムードや経済環境の変化も影響している。しかし、多くのアナリストは長期的な視点でMetaの成長力を評価しており、「強い買い(Strong Buy)」のコンセンサスを維持している。
その根拠の一つは、MetaがAI活用によって収益構造を進化させている点にある。広告分野でのAI最適化は着実に成果を上げており、プラットフォーム全体のユーザーエンゲージメントも向上している。さらに、AIを活用した新たな収益源として、スマートグラスや生成AI技術の商用化も進行中である。これらの要素が、今後の収益成長を支える要因となる可能性がある。
短期的にはAI投資のコストが収益を圧迫し、株価の不安定要因となるだろう。しかし、AI技術の発展が加速し、競争優位性を確立できれば、Metaの事業成長は持続すると考えられる。現在の株価下落が一時的な調整にとどまるのか、それともさらなる下落の兆しとなるのか、投資家は慎重に判断を下す必要がある。
Source:Barchart.com