NvidiaのCEOジェンスン・フアンがGTC基調講演を行った翌日、同社のパートナー企業の株価が大幅に上昇した。コヒレントは約7%、スーパーマイクロとアンフェノールは約6%の上昇を記録し、コーニングやルーメンタム、ファブリネットの株価も堅調に推移した。
JPモルガンのアナリストは、AIの進化に伴うデータセンター関連企業の成長を指摘。フアンは、2028年までにデータセンターの資本支出が1兆ドルを超える可能性を示唆し、市場の懸念を和らげた。AIインフラへの投資減退リスクが軽減され、Nvidiaを中心とするエコシステムの波及効果が改めて強調されている。
Nvidiaパートナー企業の株価が軒並み上昇 データセンター投資の波及効果

NvidiaのCEOジェンスン・フアンのGTC基調講演を受け、同社のパートナー企業の株価が急騰した。特にデータセンター向け部品を供給するコヒレント(COHR)は約7%、サーバーメーカーのスーパーマイクロ(SMCI)とケーブル製造のアンフェノール(APH)は約6%の上昇を記録した。さらに、コーニング(GLW)、ルーメンタム(LITE)、ファブリネット(FN)なども上昇傾向を示し、NvidiaのAI戦略に関連する企業への投資家の関心が高まっている。
JPモルガンのアナリストは、Nvidiaの顧客企業がAI技術の強化を進める中で、これらのサプライヤーが成長する可能性を指摘する。特にデータセンター市場の拡大が、光学部品、半導体、ハードウェアの需要を押し上げる要因となると見られている。市場はすでにAI関連の巨額投資を織り込みつつあり、投資家はNvidia単体よりも関連企業全体の成長を見極める局面に入っている。
データセンターへの資本投資は2028年までに1兆ドルを超える可能性があり、これはハードウェア供給企業にとって大きな商機となる。今後も、AI市場の成長に伴う波及効果を受け、Nvidiaとそのエコシステムを構成する企業への注目は続くと考えられる。
AI投資を巡る市場の懸念とGTC基調講演の影響
NvidiaのGTC基調講演では、AI市場の成長が続くとの見通しが強調されたが、一部では投資減退のリスクも指摘されていた。特に、中国のDeepSeekが発表した低コストAIモデル「R1」が市場に与える影響が注目されていた。これにより、ハイエンドAIチップに対する需要が鈍化する可能性が懸念されていたが、フアンは「データセンターの資本支出は2028年までに1兆ドルを超える」とし、長期的な投資の継続を示唆した。
JPモルガンの分析によれば、Nvidiaのパートナー企業は引き続き恩恵を受ける見通しであり、AI技術の進化によってデータセンター関連のインフラ投資が拡大する可能性が高い。特に、光学コンポーネントやネットワーク機器を手掛ける企業は、AIインフラの発展とともに市場での地位を確立していくと予測されている。
一方で、市場の楽観論には慎重な見方もある。AI投資の拡大は、半導体製造のサプライチェーンやエネルギー消費にも影響を及ぼし、持続可能性が問われる局面も出てくる可能性がある。GTC基調講演を受け、市場は短期的な反応を示したが、長期的な成長を見極めるには今後の技術革新や競争環境の変化が鍵となるだろう。
Nvidiaエコシステムの拡大と投資家の視点
ウェドブッシュ証券のアナリストは、Nvidiaのチップ市場が「波及効果」を生み出していると指摘する。具体的には、Nvidiaのチップに1ドル投資されるごとに、ハイパースケーラー、ソフトウェア、データセンター、サイバーセキュリティ、エネルギー関連の分野で8〜10ドルの経済的影響が発生すると分析されている。これは、Nvidiaの成長が単体で完結するのではなく、関連する広範な産業に恩恵をもたらすことを示唆している。
投資家は、こうした波及効果を考慮し、AI市場全体の成長性を重視している。GTCでの発表を受けて、Nvidia関連企業の株価が大幅に上昇したことは、市場が依然としてAIの成長に対して前向きであることを示している。ただし、AI投資の拡大に伴い、競争が激化し、技術革新のスピードも加速することが予想される。
今後、Nvidiaのエコシステムがどこまで拡大するかが、投資家にとっての重要な指標となる。データセンター、通信、半導体製造、さらにはエネルギー市場など、多岐にわたる分野への影響を見極めることが、長期的な投資判断の鍵となるだろう。
Source:Investopedia