NvidiaのCEOジェンスン・フアンは3月18日、GTCカンファレンスにて基調講演を行った。しかし、市場の反応は限定的で、株価の大幅な上昇にはつながらなかった。一方で、アナリストは依然としてAI分野におけるNvidiaの成長ポテンシャルを高く評価している。
同社は、2025年後半に「Blackwell Ultra」チップを投入し、2026年には「Vera Rubin」、2027年には「Rubin Ultra」を発表する計画を明らかにした。これに対し、Morgan Stanleyは「少なくとも2027年まではAI市場でのリーダーシップを維持できる」との見解を示した。
Nvidiaの株価はGTC後に2%上昇したが、年初来では約12%の下落となっている。アナリストの間では、同社の技術革新のスピードやクラウド顧客からの強い需要が評価されており、JefferiesやCitiも高い目標株価を据え置いた。今後、同社がAI分野でどのように競争優位性を維持するかが注目される。
NvidiaのGTCが示した今後の成長戦略と市場の評価

NvidiaのGTCカンファレンスで発表されたロードマップは、同社のAI分野における戦略的方向性を明確に示した。2025年には「Blackwell Ultra」、2026年には「Vera Rubin」、2027年には「Rubin Ultra」と、新世代の半導体を継続的に投入する計画が発表された。これにより、少なくとも2027年まではAI市場における技術的優位性を維持する可能性が高いとアナリストは評価している。
しかし、市場の反応は控えめで、株価は基調講演後に2%の上昇を見せたものの、年初からの下落率は12%にとどまっている。Benchmarkのアナリストは、今回の発表が「既存のロードマップの再確認に過ぎなかった」と指摘し、目標株価を190ドルに据え置いた。一方でMorgan Stanleyは、「Nvidiaの技術革新のスピードとクラウド市場での優位性は依然として揺るがない」とし、目標株価162ドルを維持した。
市場の反応が限定的だった要因として、Nvidiaが既に高い評価を受けていることが挙げられる。投資家はさらなるサプライズを期待していたが、今回の発表内容は既存の予想と概ね一致しており、新たな株価上昇のトリガーとはならなかった。
AI分野での競争優位性とNvidiaの課題
NvidiaはAI分野において圧倒的な市場シェアを誇るが、競争環境の変化も無視できない。クラウド事業者を中心に、高性能なAIチップへの需要が増している一方で、AMDやIntelといった競合企業も新たな製品開発を進めている。特に、GoogleやAmazonといったハイパースケーラーが独自チップを開発し、Nvidiaへの依存度を下げようとしている点は同社にとってのリスク要因となる。
一方で、Nvidiaはハードウェアだけでなく、CUDAなどのソフトウェアエコシステムを強化することで、AI分野での支配力を維持している。競合他社がハードウェアの性能で対抗しようとしても、ソフトウェアの最適化と開発者コミュニティの強さがNvidiaの優位性を支えている。
Nvidiaの今後の課題として、競争環境の変化にどのように対応していくかが問われる。特に、ハイパースケーラーによる自社製チップの台頭や、AIアクセラレータ市場の分散化が進めば、Nvidiaのシェアが徐々に縮小する可能性もある。同社が今後も市場での地位を維持するためには、技術革新のスピードをさらに加速させることが不可欠である。
Nvidiaの株価動向と投資家の視点
GTCカンファレンス後のNvidiaの株価は2%上昇したが、年初からの下落率は12%と依然として低迷している。AIブームの波に乗り2023年に大幅な株価上昇を記録したNvidiaだが、現在は調整局面にあるとみられる。投資家の間では、今回のイベントが新たな成長の起点となるかどうかに注目が集まっていたが、実際には既存のロードマップの確認にとどまり、市場の期待値を超える発表はなかった。
JefferiesやCitiのアナリストは、NvidiaのAI分野での技術革新の速さを評価し、それぞれ185ドル、163ドルの目標株価を維持した。しかし、短期的な株価上昇の材料には乏しく、投資家の一部は利益確定の動きに出る可能性もある。一方で、中長期的にはAI市場の拡大が続くと予測されており、Nvidiaの成長ポテンシャルに対する期待は依然として高い。
株価の動向は、今後のAI市場全体の成長と競争環境に大きく左右される。投資家は、Nvidiaが新たな製品群をどのように市場に投入し、競合との優位性をどこまで維持できるかを慎重に見極める必要がある。短期的な調整局面を経た後、AI市場の成長とともにNvidiaの株価が再び上昇するかどうかが、今後の焦点となる。
Source:Investopedia