AMDの次世代モバイルAPU「Medusa Point」に関する新たなリークが浮上した。最新の情報によると、同APUはRDNA 4アーキテクチャを採用せず、代わりにRDNA 3.5を搭載する可能性が高い。これはAMDのGPUOpenドライバーのコードから判明したもので、RDNA 4のデバイスIDがディスクリートGPU専用として記述されていることが根拠とされている。
この仕様変更により、AMDの最新アップスケーリング技術「FSR 4」がMedusa Point APUを搭載するノートPCや携帯型ゲーミングPCで使用できなくなる可能性が指摘されている。FSR 4は画質とパフォーマンスを向上させる重要な機能であり、その排除はゲーミング体験に大きな影響を及ぼすだろう。
AMDは現在、「Strix Point Ryzen AI 300」シリーズの開発を進める一方で、次世代Zen 6 APUの計画も進めている。しかし、FSR 4がRDNA 4専用となる場合、同社のAPUを採用するデバイスの競争力が低下する可能性もある。今後、AMDがこの制限を撤回するかどうかに注目が集まる。
AMDのMedusa Point APUはなぜRDNA 4を採用しないのか

AMDの次世代APU「Medusa Point」がRDNA 4を採用しないという情報は、AMDのGPUOpenドライバーのコード解析から明らかになった。コード内でRDNA 4のデバイスID「Gfxlp12」がディスクリートGPU専用として記述されており、これによりMedusa PointはRDNA 4非対応である可能性が高まった。
これまでAMDのAPUは一貫して最新のRDNAアーキテクチャを採用してきたが、今回の方針転換は異例といえる。
この決定の背景には、コストや開発効率の問題があると考えられる。RDNA 4は、Nvidiaの競合製品と対抗するためにハイエンド向けのディスクリートGPUに最適化されており、APUに組み込むには消費電力やダイサイズの面で調整が必要となる。
そのため、AMDはコストパフォーマンスの面で妥協し、RDNA 3.5という中間的なアーキテクチャを採用することで、開発リソースを最適化した可能性がある。
ただし、この判断が市場にどのような影響を及ぼすかは未知数である。最新のグラフィック機能を必要とするユーザーにとっては、RDNA 4非対応のAPUが魅力を損なう要因となる可能性がある。一方で、Medusa PointがRDNA 3.5によって十分な性能を発揮すれば、コスト面や消費電力の面でのメリットが評価される可能性もある。
FSR 4非対応による影響と競争環境の変化
FSR 4がRDNA 4専用となることで、Medusa Point APUを搭載するノートPCや携帯型ゲーミングPCはこの技術を活用できない可能性が高い。
FSR 4は、AMDが開発する最新のアップスケーリング技術であり、AIを活用した高画質化とフレーム補完技術によって、パフォーマンス向上が期待されている。しかし、RDNA 4非対応のMedusa PointではFSR 4が利用できないため、競合製品との比較で不利になる可能性がある。
特に、携帯型ゲーミングPC市場ではNvidiaのDLSS 3が強力なライバルとして存在する。DLSS 3はすでに多くのゲームで採用され、AIフレーム生成技術により大幅なパフォーマンス向上を実現している。一方、FSR 3はDLSS 3に比べると劣る点も多く、FSR 4による画質改善が期待されていた。
しかし、この技術がRDNA 4専用となることで、Medusa Point搭載機はDLSS 3対応のNvidia製品と競争する際に不利な立場となる可能性がある。
この状況を打開するために、AMDがFSR 4をRDNA 3.5向けにバックポートする可能性も考えられる。過去にはNvidiaがRTX 3000シリーズ向けにFrame Generationを部分的に提供した事例があり、AMDが同様の戦略を採る可能性は否定できない。しかし、FSR 4のすべての機能が移植される保証はなく、一部の性能が制限される可能性もあるため、市場の反応が注目される。
Medusa Point搭載デバイスの今後とユーザーへの影響
Medusa Point APUは、携帯型ゲーミングPCやノートPC市場に投入される可能性が高いと見られている。現在、携帯型ゲーミングPC市場は急成長しており、Asus ROG AllyやMSI Claw 8 AI+など、各メーカーが独自のデバイスを発表している。特に、Ryzen Z2 ExtremeのようなAMDのStrix Point APUを搭載したモデルも登場しており、Medusa Pointがどのような立ち位置を確立するかが注目される。
ただし、FSR 4が利用できないことで、ゲーミング体験に影響を与える可能性がある。アップスケーリング技術は、高解像度でのフレームレート向上に不可欠であり、特にモバイル環境では電力効率とのバランスが求められる。そのため、FSR 4非対応のMedusa Point搭載機は、NvidiaのDLSS 3対応デバイスに比べて競争力を欠くことが懸念される。
一方で、RDNA 3.5がどの程度のパフォーマンスを発揮するかによって評価は変わる可能性もある。もしFSR 4がなくても十分なパフォーマンスを提供できれば、コストパフォーマンスの面で魅力的な選択肢となる可能性がある。今後の正式な仕様発表と、Medusa Point搭載デバイスの実際の性能が市場にどのように受け入れられるかが注目される。
Source:TechRadar