NvidiaのRTX 50シリーズにおいて、8ピン×3 → 16ピンの電源アダプターが過熱し溶融する事例が報告された。幸いにもGPU本体には損傷がなかったが、問題の共通点として古い電源ユニットの使用が指摘されている。特にATX 3.0に非対応の電源を用いた環境では、電圧の安定性や安全機能の欠如が影響している可能性がある。
同様のトラブルはRTX 40シリーズでも発生しており、Nvidiaの設計上の仕様も一因とされる。ピンごとの電流測定機能がないため、接触不良が検知されずに局所的な負荷集中が生じるリスクがある。現行の電源供給システムに根本的な見直しが求められる中、Nvidiaの対応が注目される。
Nvidiaの電源アダプター溶融事故が発生 古い電源ユニットの影響とは

NvidiaのRTX 50シリーズにおいて、8ピン×3 → 16ピンアダプターが過熱し溶融する問題が発生している。特に古い電源ユニットの使用が共通要因として指摘されており、ATX 3.0非対応の電源環境では安全機能が不足している可能性が高い。
Redditユーザーが投稿した事例では、2010年製のCorsair AX850 Goldを使用していた環境でアダプターが溶融したが、幸いにもGPU本体には損傷がなかったことが確認されている。
同様の問題はRTX 40シリーズでも報告されており、2016年製のATX 2.3規格の電源を使用したシステムにおいてもアダプターが過熱する現象が発生している。電源ユニットの老朽化や、新しい規格に対応していない設計がトラブルの要因となる可能性があり、Nvidiaが推奨するATX 3.0/3.1対応電源の使用が改めて重要視される事態となっている。
12VHPWRコネクターの設計が抱える問題と過熱のリスク
NvidiaのRTX 50シリーズに採用されている12VHPWRコネクターは、大電流を流す設計となっているが、ピンごとの電流測定機能が搭載されていない。このため、接続部での電流負荷が適切に分散されず、局所的な発熱や接触不良が発生するリスクが高まる。
ハードウェア専門家のAndreas Schilling氏とDer8auer氏の検証では、電源コネクターの温度が150℃を超える事例が確認され、特定のピンには本来の許容範囲を超える22Aの電流が流れていたと報告されている。
Nvidiaの公式仕様では、各ピンの最大許容電流は9.5Aとされているが、実際にはそれを大きく上回る電流が流れることで、コネクターの過熱や溶融を引き起こす可能性がある。
これは古い電源ユニットの使用だけでなく、コネクターそのものの設計上の問題でもあり、ユーザー側では完全に防ぐことが難しい。現時点では、ケーブルの抜き差し時の接触不良や、長期間使用による劣化を防ぐために、慎重なメンテナンスが求められる。
Nvidiaの対応と今後の電源規格の行方
NvidiaはRTX 50シリーズの推奨環境としてATX 3.0/3.1対応電源の使用を勧めているが、これは必須条件ではなく、旧型の電源ユニットでも動作する設計となっている。しかし、12VHPWRコネクターの特性上、古い電源ユニットとの組み合わせでは予期せぬ発熱や溶融が発生するリスクがあり、Nvidiaがどのような対応策を講じるのか注目される。
一方で、RTX 40シリーズでも同様のトラブルが報告されていることから、電源ユニットの老朽化だけでなく、コネクターの仕様そのものが根本的な課題となっている可能性がある。
今後の電源規格の動向として、ATX 3.1規格ではより厳格な安全基準が求められることが予想され、Nvidiaを含むメーカー各社がどのような改良を施すかが焦点となる。ユーザー側としては、高負荷な最新GPUを運用する際には、電源ユニットの選定に細心の注意を払う必要がある。
Source:Tom’s Hardware