市場の混乱が続く中、AppLovin(APP)、Palantir Technologies(PLTR)、Trade Desk(TTD)の株価が回復を見せている。関税問題やインフレ懸念、景気後退の不安が投資家心理を冷やす一方で、これらの銘柄は下落をチャンスと捉えた投資家の買い戻しに支えられた。
AppLovinは、ショートセラーの否定的な報告により一時的に急落したが、CitiとJefferiesの「買い」評価維持と600ドルの目標株価設定が反発の材料となった。自社株買いの可能性も好感されている。Palantirは国防予算削減懸念で売り込まれたが、AIプラットフォームの評価向上により持ち直しを見せる。Trade Deskも業績の伸び鈍化を理由に大幅に下落したが、悪材料の織り込みが進み、今後の事業立て直しへの期待が高まっている。
一方で、市場では「次のNVIDIA」とされるAI関連株への関心も高まっている。過去10年で250倍の上昇を遂げたNVIDIAに続く新たな成長銘柄を探る動きが、投資家の次の焦点となっている。
AppLovinの株価回復 逆風の中で評価が見直される

AppLovin(NASDAQ:APP)は、ショートセラーのレポートによる圧力を受けて下落したが、JefferiesやCitiのアナリストが強気の評価を維持したことにより反発を見せた。特にJefferiesは、600ドルの目標株価を再確認し、同社の成長力を引き続き評価している。さらに、AppLovinは約12億ドル規模の自社株買いを計画しているとされ、この動きも株価を押し上げる要因となった。
同社の成長戦略にはeコマース収益の拡大が含まれており、試験運用が進む中で市場の期待が高まっている。一方で、Fuzzy PandaやCulper Researchのようなショートセラーは、同社の成長が持続可能かどうかを疑問視し、ビジネスモデルの脆弱性を指摘していた。彼らの主張は一時的に投資家の警戒感を強めたものの、AppLovinの財務基盤が健全であるとの見方が広まり、株価回復の契機となった。
今回の回復は、単なる市場の短期的な反発ではなく、企業の成長余地と市場の評価の見直しによるものと考えられる。特に、強気派のアナリストが目標株価を維持する中で、自社株買いや新規事業がどのように寄与するかが今後の焦点となる。
PalantirのAI事業に注目 集約される期待と不安
Palantir Technologies(NYSE:PLTR)は、国防総省の予算削減懸念により一時的に売り込まれたが、現在は回復の兆しを見せている。Jefferiesのアナリストが同社のAIプラットフォームに関するカスタマーイベントに注目し、評価を高めたことが背景にある。Palantirの製品がさまざまなビジネス領域で変革をもたらしていることを示す具体的なケーススタディが紹介され、投資家の関心を集めた。
PLTRの強みは、AIとデータ分析を活用した高度なシステムを提供する点にある。政府機関や防衛産業に対する強固な関係を維持しつつ、商業部門への展開を加速させていることも評価されている。しかし、政府系契約への依存度が高いことから、国防予算の変動が業績に大きな影響を与える可能性は否定できない。
このようなリスクを抱えながらも、同社はAI技術の進化とともに新たな市場を開拓する意向を示している。短期的には政府予算の動向が鍵となるが、長期的には商業部門での成長が評価されるかがポイントとなるだろう。
Trade Deskの成長鈍化と市場の期待
Trade Desk(NASDAQ:TTD)は、収益の成長鈍化が嫌気され、2月以降に株価が急落した。2024年第4四半期の売上高は前年同期比22%増の7億4100万ドル、調整後の利益は44%増の59セントだったが、市場予想には届かなかった。2025年第1四半期の売上ガイダンスも前年比17%成長と鈍化傾向を示しており、2024年の28%成長からの減速が投資家の不安を招いた。
この状況について、CEOのジェフ・グリーン氏は「私たちは依然として業界のリーダーであり続ける」と強調しつつも、「今回のつまずきは、小さな実行ミスが重なった結果だ」と認めた。同社のビジネスモデルはデジタル広告市場の変化に強く影響を受けるため、今後の成長戦略が問われる局面となっている。
しかし、多くの悪材料が織り込まれた今、投資家は同社の回復余地を探っている。Trade Deskはすでに新たな広告技術の開発や市場拡大を進めており、今後の業績が期待される。今回の株価下落を買い場とする投資家もおり、同社の戦略次第では今後の成長が再評価される可能性もある。
Source:24/7 Wall St.