キャシー・ウッドが率いるARKの旗艦ファンド「Ark Innovation ETF(ARKK)」が、約1年ぶりにメタ・プラットフォームズ(NASDAQ: META)の株式を売却した。3月17日に12,595株(約762万ドル相当)、翌営業日にも2,160株を追加売却し、テクノロジー株全体の調整局面の中で保有比率を縮小した。

メタ株は2月18日に約4%下落し、年初の上昇分を失って2025年はマイナス圏に転じた。AI事業では「Llama」モデルのダウンロードが10億回を突破し、次世代モデル「Llama 4」も控えているが、市場評価は分かれる。J.P.モルガンは強気の姿勢を崩さず、目標株価を725ドルとしたが、KeyBancはコスト圧力と経済リスクを理由に目標株価を750ドルから710ドルへ引き下げた。

ARKのメタ株売却は、大型テクノロジー株への慎重なスタンスの現れとみられ、今後の動向が注目される。


ARKのメタ株売却の背景 テクノロジー株市場の変動と投資判断

ARKの旗艦ファンド「Ark Innovation ETF(ARKK)」が約1年ぶりにメタ・プラットフォームズ(NASDAQ: META)の株式を売却したことは、市場の注目を集めている。3月17日、ARKKは12,595株(約762万ドル相当)を売却し、翌営業日にも2,160株を追加売却した。これは、テクノロジー株全体の市場調整の影響を受けた動きとみられる。

2024年を通じてARKはメタ株の保有を増やし、年末時点で46万株以上を保持していた。しかし、2月18日にはメタ株が約4%下落し、年初の上昇分を帳消しにした。この急落により、同社株は「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要ハイテク株の一角としての地位を維持しつつも、2025年は軟調なスタートを切ることとなった。

ARKの売却は、単なる利益確定ではなく、大型テクノロジー株に対する慎重な姿勢の表れとも考えられる。メタはAI分野での飛躍を遂げているが、広告ビジネスへの依存度が依然として高く、経済環境の変動が収益構造に与える影響は無視できない。テクノロジーセクター全体のボラティリティを考慮し、ポートフォリオの見直しを図った可能性が高い。

メタのAI戦略と成長市場 Llamaモデルの拡大と次世代AIへの展望

メタ・プラットフォームズはAI分野への投資を加速させている。3月18日、同社のオープンソースAIモデル「Llama」のダウンロード数が10億回を突破したと発表された。2024年5月時点の1億7,000万回から急増しており、企業や開発者の間で広く利用されていることがうかがえる。

また、メタは次世代AIモデル「Llama 4」のリリースを予定しており、AIエージェントの高度な推論能力を強化する狙いがある。この技術革新は、同社がAI分野での競争力を維持し、広告依存型の収益モデルからの脱却を模索する一環ともいえる。

しかし、市場の評価は一様ではない。ウォール街では、J.P.モルガンがメタの成長ポテンシャルを評価し、目標株価を725ドルに設定した一方で、KeyBancはマクロ経済リスクやコスト圧力を懸念し、目標株価を750ドルから710ドルへ引き下げた。AI技術の発展が同社の収益成長に直結するかは依然として不透明であり、今後の事業展開が注目される。

ARKの投資戦略 大型テクノロジー株への慎重な姿勢と今後の展望

ARKの投資スタイルは、長期的なイノベーションを重視することで知られている。しかし、今回のメタ株売却は、大型テクノロジー株に対する慎重な姿勢を強調する動きとも捉えられる。ARKはこれまでメタ株の買い増しを続けてきたが、市場環境の変化を受けて戦略を修正した可能性がある。

ARKが今後どのようなポートフォリオ戦略を取るかは不透明だが、ウッドはこれまでも市場の動向を見極めながら柔軟に投資方針を調整してきた。メタ株の売却は、リスク回避の一環であると同時に、新たな成長分野への資金移動を示唆するものかもしれない。

今後の焦点は、ARKがどの分野に資本を再配分するかにある。AI分野は依然として成長の余地が大きく、ウッドが新興テクノロジー企業に投資をシフトする可能性も考えられる。市場全体の変動が続く中、ARKの投資動向は引き続き注視すべきだろう。

Source:Finbold