世界最大級の資産運用会社ブラックロックのデジタル資産部門責任者、ロビー・ミッチニック氏は、機関投資家のビットコイン(BTC)への関心が依然として強いにもかかわらず、市場価格がその需要を適切に反映していないと指摘した。2025年初頭にはビットコインETFからの資金流出が相次ぎ、価格は過去の高値を下回る水準にとどまっている。

ミッチニック氏は、米国の景気後退がビットコインの次の上昇要因になり得るとし、低金利や財政赤字の拡大といった経済環境がBTCに有利に働く可能性を示唆した。一方で、規制の不透明性や短期的な市場の変動が価格の伸びを抑制しているとも分析している。

また、米国政府が戦略的ビットコイン準備金の創設を検討していることについても言及。これがデジタル資産市場におけるビットコインの地位を確立する重要な動きとなる一方で、政府の取得・管理方法が明確でないことが市場の不確実性を高める要因となっていると指摘した。


機関投資家の需要が高まるも価格に反映されない理由

ブラックロックのロビー・ミッチニック氏によると、機関投資家によるビットコイン(BTC)への関心は依然として強く、資金流入も続いている。しかし、価格は過去の高値を下回る水準で推移し、需要が適切に反映されていない状況が続いている。特に、2025年初頭にはビットコインETFからの大規模な資金流出が発生し、市場は慎重な姿勢を強めた。この動きは、短期投資家の利確や市場の不透明感によるものと考えられている。

ミッチニック氏は、景気後退期にビットコインが強力なヘッジ資産として機能する可能性を示唆している。金市場では不確実性が高まる中で史上最高値を更新する動きが見られたが、ビットコインは依然として短期的なリスク資産として認識されがちだ。この認識が価格の抑制要因となり、機関投資家の需要が市場価格に十分反映されない一因となっている。

また、最近のETFからの資金流出の背景には、ヘッジファンドによるスポット・先物間の裁定取引の解消があると指摘されている。これにより短期的な売り圧力が高まったが、長期投資家は市場に留まっているとの見方もある。こうした動向が続く中、市場がビットコインの本質的価値をどのように評価するのかが今後の焦点となるだろう。

景気後退と規制の行方がビットコイン市場に与える影響

米国経済の景気後退が現実味を帯びる中、ミッチニック氏は、財政支出の増加や財政赤字の拡大、低金利政策といった要因がビットコインにとって有利に働く可能性を指摘している。歴史的に、不況期にはリスク回避資産への資金流入が強まる傾向があるが、ビットコインが今後どのような位置付けを得るかは依然として不透明だ。

規制の変化も市場に影響を与える要因の一つである。ワシントンでは暗号資産に対する規制緩和の兆しが見られ、一時的な価格上昇をもたらした。しかし、その後の市場の反応は限定的であり、長期的な影響については慎重な見方が広がっている。政府がどのような枠組みでビットコインを扱うかが今後の市場動向を左右するだろう。

また、米国政府が「戦略的ビットコイン準備金」の創設を検討しているとの報道があり、これがデジタル資産市場におけるビットコインの地位を確立する要素になる可能性がある。しかし、政府がどのようにビットコインを取得し、管理していくのかは不透明であり、市場の不確実性を高める要因にもなっている。これらの動向を踏まえ、投資家は慎重な姿勢を維持しつつ、長期的な戦略を模索することが求められる。

機関投資家の戦略とビットコインの長期的な展望

機関投資家の間では、現在のビットコインの価格推移を「買い場」と捉える動きがある。ミッチニック氏は、多くの熟練した投資家が価格の下落局面を利用し、長期的な視点でビットコインを買い増していると述べている。短期的な市場の変動に左右されず、資産の一部をデジタル資産に振り分ける戦略は、一部の機関投資家にとって依然として有効であると考えられている。

ビットコインの独自の特性——希少性、分散化、金融システムからの独立性——は、経済の先行きが不透明な状況において価値を見出されやすい要素である。金と異なり、デジタル資産としての特性を持つビットコインは、従来の市場とは異なるダイナミクスを持つが、機関投資家がどのように評価していくかが鍵となる。

今後の市場では、規制環境の整備と機関投資家の戦略の変化が価格形成に影響を与えるだろう。短期的には不安定な動きを見せる可能性があるが、ビットコインがデジタル時代の新たな資産クラスとして確立されるかどうかは、機関投資家の継続的な参入と市場の成熟度次第である。

Source:CryptoSlate