テスラの最大の支持者の一人として知られるWedbush証券のアナリスト、ダン・アイヴスが、イーロン・マスクに「真実の瞬間」が訪れていると警告した。彼は、マスクが政府効率省(DOGE)での活動に傾倒しすぎた結果、テスラが政治の渦中に巻き込まれ、企業のブランド価値が危機に瀕していると指摘する。
この指摘の背景には、テスラの株価低迷がある。現在の株価は約230ドルと昨年12月の高値から半減し、さらに世界各地でテスラに対する抗議活動も激化。アイヴスはこれを「ブランドのトルネード危機」と位置づけ、マスクがDOGEでの活動を抑え、CEOとしての役割に専念する必要があると主張する。
また、テスラの取締役会にも沈黙を破り、適切な対応を取ることを求めた。特に、より手頃な価格のモデルやロボタクシーのロードマップの提示が、ブランドの立て直しに不可欠だとしている。アイヴスは、これらの措置を講じればマスクの政治的関与に対する批判は次第に鎮静化し、テスラの将来に希望が見いだせると分析している。
テスラの株価低迷とブランド価値の危機

テスラの株価は2024年12月の高値である約480ドルから約230ドルへと半減し、企業の成長力に対する投資家の懸念が顕在化している。株価の下落は、同社の経営方針に対する不透明感や、EV市場の競争激化による市場シェアの減少が影響していると考えられる。特に、イーロン・マスクの政府効率省(DOGE)への関与が拡大し、CEOとしての職務が後回しになっているとの指摘が投資家の不安を煽っている。
また、テスラを取り巻く社会的な風当たりも強まっている。各国で同社に対する抗議活動が拡大し、車両や販売店への破壊行為が報告されるなど、企業イメージの低下が深刻化している。これらの事象を受け、一部の政府機関がテスラへの攻撃を「国内テロ」と見なす動きも出ており、同社を取り巻く状況はかつてないほど政治的な色合いを帯びている。
このような中、Wedbush証券のダン・アイヴスはテスラのブランドが「トルネード危機」にあると警告した。アイヴスは、ブランド価値の回復にはマスクの経営専念が不可欠であると指摘し、特にDOGEへの過度な関与がテスラの成長戦略を曇らせていると分析している。企業価値の維持には、政治的な議論からの距離を置き、経営の安定性を市場に示すことが重要となるだろう。
マスクの行動がテスラの未来を左右する
ダン・アイヴスは、イーロン・マスクに対し、DOGEとテスラの役割を明確に分け、経営に専念するよう求めた。彼の指摘によれば、現在のように政治的な活動へ傾倒した状態が続けば、テスラは「政治の象徴」として見なされ、事業の根幹に悪影響を及ぼす可能性がある。企業は本来、技術革新や市場戦略によって評価されるべきであり、政治的な対立の渦中に置かれるべきではない。
また、投資家の間では、マスクの経営方針に対する疑問が広がっている。2023年には投資家のロス・ガーバーがテスラ取締役会入りを目指し、マスクの経営手腕に対する監視を強めようとした経緯がある。この流れを受け、アイヴスはマスクの辞任を求める立場にはないものの、CEOとしての責務を優先する姿勢を明確に示すべきだと指摘している。
テスラはこれまで、自動車市場において破壊的な技術革新を推し進めてきた。しかし、現在の状況が続けば、投資家の信頼が損なわれるだけでなく、新たな技術開発にも影響を与える可能性がある。今後のテスラの成長は、マスクが経営の安定と事業戦略の明確化にどれほど注力できるかにかかっている。
低価格EVとロボタクシーが未来の鍵を握る
アイヴスはテスラの経営再建には、以前マスクが示唆していた「手頃な価格のEV」や「ロボタクシー」の実現が不可欠だと指摘する。特にEV市場では、競争が一層激化しており、既存メーカーだけでなく、中国勢の台頭も目立つ。価格競争が進む中で、テスラが市場の主導権を維持するには、より幅広い消費者層に訴求できるモデルを提供する必要がある。
ロボタクシーの事業展開もまた、テスラの未来を左右する要素とされる。マスクはこれまで、自動運転技術の進展によって個人所有の車が不要になる未来を予測してきたが、その具体的なロードマップは不透明なままだ。投資家の間では、ロボタクシーの商業化が進めば、テスラの収益構造が大きく変わり、企業価値を押し上げる可能性があると期待されている。
アイヴスは、これらの計画を明確にすることで、現在の批判が和らぎ、テスラが本来持つ技術力やイノベーションの強みを再び市場に示せると分析する。マスクが政治的な影響力の拡大ではなく、事業の成長に注力することができるかどうかが、テスラの次の成長ステージを決定づけることになるだろう。
Source: TechCrunch