ビットコイン投資企業へと転換したStrategy(旧MicroStrategy)の株価が過去3カ月で17.4%下落し、52週高値から約45%の低水準にある。2025年2月発表の第4四半期決算では、6億7,080万ドルの損失を計上し、売上高も市場予想を下回った。
同社は現在、447,470枚のビットコインを保有し、その価値は239.1億ドルに達するが、ビットコイン価格の変動に大きく左右される経営体質が浮き彫りとなった。アナリストの評価は強気が多数を占めるが、ビットコインの市況次第では更なる株価調整の可能性もある。
長期的な成長余地が指摘される一方で、企業としての収益基盤がビットコインに過度に依存している点が懸念される。今後の戦略次第では、再び市場の評価が大きく変わることになるだろう。
Strategyの株価低迷 その背景にあるビットコイン依存の実態

Strategy(旧MicroStrategy)は、ビットコインを財務資産の中心に据える戦略を取ることで市場の注目を集めてきた。特に2020年以降、同社はBTCの大規模な購入を実施し、その保有量は2024年12月末時点で447,470枚に達した。これにより、同社の資産価値は239.1億ドル規模に及ぶが、同時に株価の変動がビットコイン価格に大きく依存する状況が生まれている。
2020年から2021年の強気相場では、Strategyの株価も急騰し、5年間で2,700%以上の上昇を記録した。しかし、2022年の弱気相場ではビットコイン価格の低迷に伴い株価も大幅に下落した。この株価変動は、同社の事業モデルがビットコインの市況に強く影響を受けることを明確に示している。
2025年に入り、同社株は過去3カ月で17.4%下落し、52週高値から約45%低い水準にある。この背景には、第4四半期決算で6億7,080万ドルの損失を計上し、売上高も市場予想を下回ったことがある。特に営業費用の急増が懸念材料となっており、11億ドルのコストのうち10億ドルがデジタル資産に対する減損損失として計上された。
ビットコイン価格の影響を直接的に受ける財務戦略は、一方で高いリターンをもたらす可能性を秘めている。しかし、株価の急落時には企業経営の安定性に対する疑念が強まり、投資家の間で評価が分かれる要因となる。この状況が続く限り、Strategyの株価はビットコイン市場の動向に左右され続けるだろう。
第4四半期決算の衝撃 売上減少と巨額損失がもたらす影響
Strategyが2025年2月5日に発表した第4四半期決算は市場の期待を大きく下回った。同社は6億7,080万ドルの純損失を計上し、1株あたりの調整後損失は3.03ドルとなった。これは前年同期の1株あたり純利益0.50ドルから大幅な悪化であり、投資家の失望を招いた。売上高も1億2,070万ドルにとどまり、前年比3%減少した。
売上の内訳を見ると、サブスクリプションサービスは前年比48%増の3,190万ドルと健闘したが、製品サポートは10.8%減、その他のサービスも20.8%減となり、事業の一部が縮小傾向にあることが示された。このような売上減少は、同社の本来のソフトウェア事業が後退し、ビットコイン財務戦略に傾倒する結果として現れている。
また、特筆すべきは営業費用の急増である。2024年12月末時点で同社は11億ドルの営業費用を計上しており、前年比で693%の増加となった。このうち10億ドルがデジタル資産の減損損失によるものであり、これはビットコイン市場の変動が企業財務に大きな影響を及ぼしていることを示している。
この決算結果は、Strategyの財務基盤がいかに不安定であるかを浮き彫りにした。ビットコインの市場動向次第で巨額の減損損失が発生し、営業利益が大きく左右されるリスクがある。これにより、投資家は同社の長期的な収益性に対して慎重な姿勢を取る可能性がある。
株価の行方はビットコイン次第 投資家はどう動くべきか
Strategy株はウォール街のアナリストから高い評価を受けており、12人のアナリストのうち10人が「強気買い」、1人が「やや買い」、1人が「ホールド」としている。平均目標株価は540.36ドルで、現在の水準から82%の上昇余地があるとされる。
しかし、株価の将来を決定づけるのはビットコインの市場動向である。過去の例を見ても、ビットコインが強気相場の際にはStrategyの株価も上昇し、逆に市場が弱気に転じると急落する傾向がある。現在、ビットコインの価格は回復基調にあるものの、その動向は依然として不透明であり、急激な価格変動が発生する可能性がある。
さらに、同社の財務状況も投資判断の重要な要素となる。ビットコインへの依存度が高いため、今後の資本政策やデジタル資産の評価方法が株価に影響を与える可能性がある。第4四半期決算では資本計画のうち200億ドルを投じてBTC 218,887枚を購入したが、これはリスクヘッジの観点からも賛否が分かれる戦略だ。
投資家にとって、Strategy株はビットコイン市場の動向を映し出す鏡とも言える。短期的な値動きを狙うトレーダーにとっては大きなリターンの可能性があるが、長期投資の視点ではリスク管理が欠かせない。ビットコインの価格が今後も上昇基調を維持できるかが、Strategyの株価回復の鍵を握ることになるだろう。
Source: Barchart