Googleが次期Tensor G5チップの製造をSamsungからTSMCに切り替えると報じられた。TSMCはAppleのA18 ProやSnapdragon 8 Eliteなどを手がける最先端の3nmプロセスを誇り、信頼性と性能で業界をリードしている。

今回の変更では、GPUをImagination Technologies製に、ISPを完全なGoogle独自設計に切り替えるなど、Pixel専用に最適化された構成が特徴だ。製造歩留まりの向上や発熱の抑制、省電力化が期待される一方、CPU構成などは据え置かれる見込みであり、体感差は設計全体の調整次第となる。

この移行により、Googleはより柔軟なチップ設計が可能となり、Pixelシリーズにおける性能と品質の進化に弾みがつく可能性がある。

Pixel体験に直結する設計刷新 Tensor G5が担うカメラと処理性能の進化

Tensor G5では、画像信号処理(ISP)をSamsung製からGoogle独自設計へと完全に切り替えるとされる。ISPはカメラの性能を大きく左右する要であり、どれだけ優れたレンズを搭載しても、画像処理が適切でなければ写真の仕上がりは大きく損なわれる。GoogleがISPを自社でゼロから設計するというのは、Pixelの代名詞でもある写真体験を根本から作り直す試みといえる。

さらに、GPUもArm MaliからImagination Technologies製のDXTへ変更される見込みだ。これにより、描画性能やグラフィック処理の最適化が進み、ゲームや動画編集など負荷の高い処理も安定した体験が期待される。こうした変更は、Tensor G5が単なるプロセス縮小にとどまらず、内部構成から刷新される意志の現れだ。

ISPやGPUの再設計は、Pixel 10世代以降でAI機能やマルチメディア性能の体感に直結する可能性があり、処理能力だけでなく「使ってどう感じるか」の質にも影響を及ぼすものと考えられる。

Samsung製部品の段階的排除が示すPixelチップの自立化

Tensor G5では、従来Samsungに依存していた各種コンポーネントが相次いで他社製、もしくはGoogle独自設計に切り替えられる。USB3、UFS、SPMI、PWMなどのインターフェース制御に関しても、Samsung製コントローラからSynopsysやFaraday Technologiesなどの製品への置き換えが予定されている。これは製造元変更以上に、SoC内部の構成思想が変わりつつあることを意味する。

Googleは以前のTensor G1~G4では、Samsungが提供する既成部品を多く活用していたが、G5世代では独自設計比率が上がり、SoC全体をPixelに最適化する方向に進んでいる。これはハードウェアレベルでのPixel最適化を深め、他社製Android端末との差異化を明確にする一歩といえる。

ただし、Arm Cortex CPUやGoogle製DSP、TPUなど、これまでと同様の設計が維持される部分もあるため、完全な一新とは言えない。それでも、Pixelシリーズにおけるハードウェア独立性を高める流れは確実に進んでおり、将来的により自由度の高い設計を実現する土台となる可能性はある。

TSMCの3nmプロセスがもたらす効率改善とその影響

TSMCが製造を担当することで、Tensor G5は同社の最新3nmプロセスノードを採用する見込みとなっている。TSMCのプロセス技術は業界最高水準とされており、AppleのA18 ProやSnapdragon 8 Eliteでも採用される信頼性の高さがある。このプロセス変更により、チップ面積の縮小、省電力性の向上、熱処理の改善といった利点が見込まれる。

Samsung Foundryの4nm以下の製造では、発熱や歩留まりに関する課題が指摘されてきた。Pixel 6以降の端末で見られた発熱や電池持ちの不満も、少なからず製造品質に起因する部分があった可能性がある。TSMCへの切り替えは、こうした問題への対策となると同時に、安定した製造供給の確保にもつながる。

とはいえ、プロセス技術の優秀さがそのまま体感性能に直結するとは限らない。実際のバッテリー持ちや処理速度の向上は、周辺設計の完成度やソフトウェアとの統合次第であるため、単純にTSMC化だけでPixel体験が劇的に変わるとは言い切れない。それでも、信頼性の高い製造基盤は今後の発展に向けた重要な前提条件となるだろう。

Source:Android Central