Appleが開発したC1モデムが、QualcommのSnapdragon X71を複数のベンチマークで上回る結果を示した。米国の主要キャリアを対象に実施された測定では、特に低速環境での接続品質やアップロード速度においてC1モデムが優位に立った。

Ooklaの調査によると、iPhone 16eのC1モデムはAT&TやVerizonでより優れた接続性能を発揮し、全キャリアでアップロード速度が大幅に向上。最速のダウンロード速度ではSnapdragon X71が勝るものの、日常使用の体感品質を左右する低速帯ではAppleのモデムが優勢であることが判明した。

これはAppleのモデム技術が独自に進化を遂げたことを示しており、今後のさらなる改良に期待が高まる。

C1モデムが実証した通信品質と電力効率の進化

Appleが開発したC1モデムは、Ooklaの実地検証によって米国の主要キャリアにおいて安定した通信性能を発揮し、とりわけ低速域での体感品質においてQualcommのSnapdragon X71を上回った。AT&TとVerizonのネットワークにおける測定結果では、10パーセンタイルの速度帯でC1モデムが優勢を示し、混雑時や電波状況が不安定な環境下でも優れた接続性を維持した点が注目される。

また、アップロード速度においては全キャリアでC1モデムが圧倒的なリードを見せ、特にAT&TとVerizonでは2倍近い差をつけたという。これにより、iPhone 16eに搭載されたC1モデムは単なる代替品ではなく、実使用環境において優位性を持つ高性能な通信チップであることが明らかとなった。

加えて、Appleがかねてより重視してきた電力効率の面でも高評価を得ており、従来のQualcommモデムと比較してバッテリー消費の最適化にも寄与しているとされる。今後のiPhoneシリーズでは、C1モデムの進化が通信性能だけでなく、端末全体のパフォーマンス改善にも直結する可能性を秘めている。

通信速度だけでは測れない真のユーザー体験

Ooklaのレポートでは、90パーセンタイルのダウンロード速度においてはiPhone 16のSnapdragon X71がC1モデムを上回ったものの、これが必ずしも実際のユーザー体験を反映する指標ではないとされる。最速帯の測定値は、mmWave領域など限られたカバーエリアの影響を受けやすく、平均的な利用状況には適さない可能性がある。

対して、10パーセンタイルの低速域でのパフォーマンスは、混雑や障害物の多い都市部など、通信環境が厳しい場面での体感品質に直結する要素と位置付けられている。この観点から見れば、AppleのC1モデムが低速域で安定した通信を確保している点は、都市部や屋内などでの使用頻度が高い層にとって大きな意味を持つ。

高速通信を追求する姿勢から脱却し、接続性と安定性を重視した設計思想が垣間見える。このような戦略は、次世代iPhoneにおける通信インフラとの連携や、IoTデバイスとの親和性を高める布石とも読み取れる。短期的な速度競争よりも、中長期的なユーザー価値の最大化を見据えた技術選択の表れである。

Source:Wccftech