Xiaomiは、新型Androidタブレット「Pad 7」を発表した。最大の特徴は、AppleのiPad Airを彷彿とさせる外観とパッケージであり、外見上の違いはほとんど判別できないほどの再現度を誇る。搭載する11.2インチLCDは144Hzに対応し、8,850mAhのバッテリー、Snapdragon 7+ Gen 3を備えながら、価格はiPad Airの半額以下に設定されている。

インド市場では約324ドル、英国でも約477ドルという戦略的価格設定がなされている。Magic Keyboard風のアクセサリーや高性能スピーカー、急速充電機能なども揃い、メディア視聴や軽作業を重視する層に訴求力を持つ。一方で、iPadOSのアプリ環境には及ばず、用途の明確化が求められる製品となっている。

iPad Airを精巧に模倣した外観とアクセサリーの完成度

Xiaomi Pad 7は、AppleのiPad Airを想起させるデザインを採用しており、その再現度は極めて高い。厚さ6.2mmのアルミ製ボディ、フラットな側面、全体のフォルムに至るまで、オリジナルとの外観的相違はわずかであり、外箱の意匠に至るまでApple製品を彷彿とさせる。

Magic Keyboard風のフローティング機構を持つ専用キーボード、Apple Pencilに酷似したスタイラスも用意され、ハードウェア周辺の体験価値も綿密に模倣されている。こうした「見た目の親和性」は、iPadユーザーやAppleに馴染みのある層にとって直感的な導入を促す。

一方で、質感や打鍵感、書き味などの細部には差が残っており、Apple純正品の精緻な完成度には至っていない。とはいえ、これらの周辺機器が価格に見合う水準にあることは事実であり、外観と使い勝手の両面でコストパフォーマンスを引き上げている。外観模倣にとどまらず、使用体験の追従を図る姿勢が、Xiaomiの製品設計の方向性を示している。

ディスプレイ性能とハードウェア仕様が示す競争優位

Pad 7が搭載する11.2インチのIPS LCDは、最大144Hzの高リフレッシュレートに対応しており、映像表示やスクロールの滑らかさにおいて、iPad Airの60Hzディスプレイを凌駕する。HDRコンテンツ再生時の輝度向上や鮮やかな発色、読書モードによる目への配慮など、多面的な使い勝手を追求した設計が光る。

搭載チップセットにはSnapdragon 7+ Gen 3を採用し、AppleのM3チップと比べれば演算能力に大きな開きはあるものの、動画視聴や資料閲覧、日常的なゲーム用途には十分なパフォーマンスを備える。8,850mAhの大容量バッテリーと67Wの急速充電も大きな武器であり、電力効率を重視する利用者にとって信頼性の高い選択肢となる。

Apple製品と同等のスペックを志向するのではなく、限られた価格帯で「必要十分な快適さ」を実現することに主眼が置かれている。コストを抑えつつも、視認性や利便性に妥協しない構成は、Androidタブレット市場での存在感を高める構造的要因の一つである。

ソフトウェアとエコシステムにおける課題と位置づけ

Pad 7にはAndroid 15が搭載され、操作UIやマルチタスク性能など、ソフトウェア面でも一定の完成度を誇る。NetflixやYouTubeのHDR対応、アプリ切り替えの滑らかさ、UI全体のレスポンスも高評価であり、Androidタブレットとしての完成度は一定の水準に達している。

しかし、iPadOSが提供する画像・映像編集や音楽制作などの専門的アプリケーションには及ばず、用途が限定的になりやすい側面も残る。Appleが長年築いてきたアプリケーションとハードウェアの統合による強固なエコシステムは、Xiaomiが模倣しきれない領域であり、特にクリエイティブ用途においてその差は顕著である。

また、Xiaomiの過去製品群に見られたアップデートの遅延も、長期的な信頼性という点で課題となる。とはいえ、Pad 7は価格とスペックの均衡を保ちつつ、日常的なメディア消費や軽作業には十二分に対応可能な水準にある。あくまで用途を見極めた上での選択が求められ、エコシステム依存度の低い層にとっては、実用性重視の合理的な代替手段となる可能性を持つ。

Source:Android Central