AMDのリサ・スーCEOが、16コア32スレッドのRyzen AI Max+ 395を搭載したGMKtecの新型ミニPC「EVO-X2」に自ら直筆サインを施した。大手ブランドではなく、中国の中堅メーカーがAMDのフラッグシップCPUを初搭載するという異例の展開となっている。

EVO-X2は最大5.1GHz動作、80MBキャッシュ、統合Radeon 8060S GPU、40基のRDNA 3.5ユニットを備え、AI処理向けにはXDNA 2アーキテクチャ採用のNPUで50TOPSの推論性能を実現。NVIDIAのハイエンドGPUに匹敵するAIベンチ結果も得られている。

ミニPCの範疇を超えたプロフェッショナル向け高性能機として、EVO-X2はAI開発や動画制作分野への本格展開も視野に入る。AMDがGMKtecを戦略的に後押しする背景には、PC市場の勢力図を再編する意図があると見られる。

リサ・スーCEOの直筆サインが示すGMKtecへの異例の評価

AMDのリサ・スーCEOが自らサインしたPCは、GMKtecの「EVO-X2」であり、これがRyzen AI Max+ 395を搭載した初のデスクトップ機である。通常この種のフラッグシップCPUは、HPやDell、Lenovoといった大手ベンダーの製品で初登場するが、今回は中国の中堅企業がその役を担った。

この事実はAMDが従来のパートナー重視の姿勢を一部転換し、技術力と市場性を備えた新興企業にも門戸を開いたことを物語っている。

Ryzen AI Max+ 395は16コア32スレッド構成で、最大5.1GHz動作、80MBキャッシュを有するハイエンド製品である。加えて、Radeon 8060S iGPUやRDNA 3.5の40基のCU、さらにXDNA 2アーキテクチャによるNPUを搭載し、50TOPSのAI処理性能を実現している。こうしたハードウェアがミニPCに搭載される例は極めて少なく、EVO-X2はその点で特異な存在といえる。

リサ・スー氏のサインは、単なる記念行為にとどまらず、GMKtecの製品開発力や今後のポジションへの期待の現れとも受け取れる。AMDが従来型の供給体制に風穴を開けることで、PC業界全体の競争軸が大きく動く可能性がある。

EVO-X2が示すミニPCの再定義とAI時代のワークステーション像

EVO-X2は、ミニPCというカテゴリに属しながらも、その性能は従来の枠を大きく超えている。統合GPUのRadeon 8060Sと40基のコンピュートユニットにより、映像処理や3Dレンダリングにも耐え得る構成であり、動画編集などのクリエイティブ用途にも対応可能である。

加えて、XDNA 2アーキテクチャを採用したNPUが50TOPSのAI演算性能を実現し、大規模AIモデルを用いた処理でも高いスループットを維持できることが、ベンチマークで明らかになっている。

注目すべきは、こうしたスペックが小型筐体に収まっている点である。省スペースで高性能という特徴は、リモート業務やモバイル環境でのAI処理にも適しており、従来のワークステーション像を刷新するものとなる。従来、NVIDIAのハイエンドGPUを必要としていた作業領域に、Ryzen AI Max+ 395搭載PCが割って入る構図が現実味を帯びてきた。

このような構成が実現した背景には、AMDによるAI用途への明確な戦略転換と、それに呼応したGMKtecの製品化能力の高さがあると見られる。EVO-X2の登場は、ミニPCというカテゴリをプロフェッショナルのツールへと昇華させる転機となり得る。デバイス選定における優先順位が、ブランドから機能性と性能へとシフトしている現在、こうした製品は市場で確かな存在感を示すだろう。

Source:TechRadar