MSIは、AMDの最新3D V-Cache搭載プロセッサ「Ryzen 9 9950X3D」において、X870/X870Eシリーズのマザーボードと独自機能の活用により、最大14.5%のゲーミング性能向上を実現可能とする構成を明らかにした。
最適化には「Memory Try It!」「High-Efficiency Mode」「X3D Gaming Mode」などのBIOS内ツールが鍵となり、Metro ExodusやFar Cry 6では最大10%、Monster Hunter Wildsでは14.5%の向上が報告された。
一方、設定によっては一部ゲームで効果が限定的となる場合もあり、構成やタイトルに応じた調整の重要性が示唆される。
MSI独自の最適化機能がRyzen 9 9950X3Dに与える影響

MSIは、自社のX870/X870Eマザーボードに搭載されたBIOS機能を駆使することで、AMD Ryzen 9 9950X3Dのゲーミング性能を顕著に引き上げられると主張している。
最新のBIOS「v.1A27」とチップセットドライバー「7.01.08.129」の組み合わせによって、Metro Exodusで10%、Far Cry 6で8%、Shadow of the Tomb Raiderで2%の性能向上が観測された。これらはMSI社内のベンチマーク結果に基づくものであり、テスト構成にはMEG X870E GODLIKEやDDR5-7200メモリ、RTX 5080 GPUなどが用いられている。
さらに、Memory Try It!やHigh-Efficiency Mode、X3D Gaming ModeといったMSI独自のBIOS設定を有効化することで、Monster Hunter Wildsでは最大14.5%のパフォーマンス改善が報告された。これらの機能はメモリの動作タイミングや速度、CPU最適化に寄与し、特定のゲームタイトルで明確な違いをもたらす。
一方でRed Dead Redemption 2やBlack Myth: Wukongのように、最適化の恩恵が限定的であるケースも併記されており、導入には構成と用途の慎重な見極めが求められる。
ハードとソフトの両輪による性能引き出しの重要性
Ryzen 9 9950X3Dは3D V-Cache構造によって既に高い処理性能を誇るが、MSIはハードウェア構成とソフトウェア設定の相乗効果によって、その潜在力をさらに引き出せるとする。
特にデフォルトのDDR5-4800MT/s構成に比べ、8000MT/sへのメモリ速度引き上げではMonster Hunter Wildsで8%の性能向上が確認されており、これは高帯域メモリの効果を明示する好例となっている。また、電源モードに「バランス」が採用されたWindows 11 24H2の利用も、安定性と効率の両立を意識した設定と読み取れる。
MSIが推奨する構成は、単なるスペック上の強化ではなく、BIOSの微調整やチップセットドライバーの選定といったソフト面の緻密な設計に基づいている。このことは、ハイエンドCPUの実力を最大限に引き出すうえで、ハードとソフトの整合性が不可欠であることを示唆している。性能向上を数字だけで測るのではなく、安定性や対応タイトルの傾向を踏まえた柔軟な最適化戦略が求められる状況にある。
Source:Wccftech