米NvidiaはGTC 2025にて、Blackwellアーキテクチャを採用した新型GPU「RTX Pro 6000」を発表した。GeForce RTX 5090と同じGB202ダイを使用しつつ、SM数やビデオ機能などを拡張した業務向けモデルである。

発表されたのは、600W駆動の「Workstation Edition」、300Wに抑えた「Max-Q Edition」、冷却をサーバー側に委ねる「Server Edition」の3種。全モデル共通で最大188 SM、最大96GBのGDDR7メモリ、28Gbpsのメモリ帯域を有し、FP32演算性能は最大125 TFLOPS、AI演算性能は4000 AI TOPSに達する。

特にNVENC/NVDECブロックの増加や128MBのL2キャッシュの採用により、動画処理やAIワークロードでの優位性が期待される。価格は未定だが、従来の傾向から1万ドルを超える水準になる可能性もある。

フルスペックのGB202を採用したRTX Pro 6000の設計と性能的特長

RTX Pro 6000は、GeForce RTX 5090と同一のGB202ダイを用いつつ、192基中188基のSM(Streaming Multiprocessor)を有効化した構成で提供される。この数値は5090より約10%多く、CUDAシェーダーは24064基、テンソルコアは752基、RTコアも同数の188基に達する。

L2キャッシュは96MBの5090に対して128MBと大幅に拡張され、ビデオエンコード/デコード機能も各4基と強化されている。これにより、AI推論やレンダリング、リアルタイムレイトレーシングなどの演算負荷の高いタスクにおいて、高い応答性と処理速度を実現する構造となっている。

メモリ構成も特徴的で、2GB単位のGDDR7を用いたコンシューマ向けとは異なり、3GBのチップを採用。これにより、片面で48GB、両面の“クラムシェル”構成では96GBという膨大な容量を1基のカードで搭載可能となった。これらの設計は、膨大なデータを処理する生成AIや科学計算、動画処理を主用途とする環境を想定したものであり、拡張性と処理効率を高次元で両立している。

用途に応じた3モデル構成とエンタープライズ市場への布石

今回発表されたRTX Pro 6000は、消費電力や筐体仕様の異なる3モデルで構成されている。600W駆動のWorkstation Editionは、DisplayPort 2.1bを4基備えたフルスペック仕様で、外観はGeForce RTX 5090に近いが、光沢のあるブラック仕上げが施されている。

一方、Max-Q Editionは300WのTGPに制限されており、同様にDisplayPort 4基を備えながらも、ブーストクロックの抑制による効率性重視の構成となっている。Server Editionは冷却ファンを持たず、サーバー内エアフローに依存する設計で、ラック実装やノイズ制御が求められる運用環境に適している。

これらの仕様は、各種開発用途からクラウドインフラ、AIモデルの分散学習まで、多様なニーズに対応する目的で設計されたものである。特に、16ピン電源コネクタにおける溶解問題についても、企業向けの厳格な設置管理下では発生例が報告されていないことから、導入環境における品質管理が信頼性に直結するという示唆が得られる。

プロフェッショナル市場での本格的な浸透に向け、用途ごとに最適化された構成と高い信頼性が重要な鍵を握るとみられる。

Source:Tom’s Hardware