NVIDIAの新型GPU「RTX 5060」および「RTX 5060 Ti」の発売時期が、当初の想定より遅れるとの情報が明らかになった。複数の業界筋によれば、ボードパートナーへの通知を通じて、ミドルレンジ向けモデルの登場は2025年4月から5月にずれ込む可能性が高まっているという。
特に「RTX 5060 Ti」は8GBと16GBの2構成が想定され、4月中の投入が見込まれる一方、無印の「RTX 5060」は5月まで待つ必要があるとの観測もある。公式な発表はないものの、GDCやGTCでの発表が見送られたことが、延期説を補強している。
5000番台GPUの立ち上がりでは、電源設計やソフトウェア面での不具合も報告されており、供給の不安定さや価格高騰が続いている。Steam調査で最も普及している「60番台」だけに、今回の動向はPC市場に与える影響も小さくないだろう。
RTX 5060/5060 Tiの投入時期は2025年4月以降か ボードパートナーへの通知内容が示す発売計画の輪郭

NVIDIAが次期ミドルレンジGPU「RTX 5060」および「RTX 5060 Ti」の発売計画を、関係各社に向けて非公式ながら通知したとの情報が報じられた。出所はVideocardzで、Board Channelsフォーラムに掲載された内容をもとにしており、これをXユーザーのHXLが拡散。2025年3月20日には「遅延の通達があった」とする文書も共有され、一定の信憑性が認められている。
今回の通知によれば、「RTX 5060 Ti」は4月中に登場予定であり、8GBと16GBの2バリエーションが用意されるという。一方、「RTX 5060」の発売は5月以降にずれ込むと見られ、60番台としては異例の段階的な展開となる可能性がある。ただし、NVIDIAは現時点で公式発表を行っておらず、これらはあくまでパートナー間の内部情報に基づくものである。
過去の5000番台の立ち上げでも、製品仕様や供給スケジュールを巡る混乱は顕著であった。特に電源設計の不備やドライバの安定性欠如が、初動の信頼性に影響を及ぼした経緯がある。今回の通知が事実であれば、NVIDIAは同様の混乱を未然に防ぐため、発表タイミングを意図的に調整している可能性があるだろう。
ミドルレンジGPUの遅延が市場に与える影響 販売価格の上昇と在庫不安がユーザー選好に及ぼす作用
「RTX 5060」および「RTX 5060 Ti」は、いずれもNVIDIAのラインナップにおいて最も広範なユーザー層を対象とした製品群である。「RTX 4060」がSteamハードウェア調査で最多シェアを記録していることからも、60番台GPUが市場で果たす役割は明白である。したがって今回の遅延報道は、多くの一般消費者にとって価格と性能の最適解であるGPUの選択肢が一時的に失われることを意味する。
また、既存の4060/4060 Tiや3060シリーズの市場価値が相対的に維持される結果となり、結果的に型落ちモデルの価格下落が鈍化する可能性もある。さらに、5000番台はこれまでのところ供給不足や価格高騰の問題を抱えており、今後の製品も同様の傾向を免れないと考えられる。MSRP(メーカー希望小売価格)より数百ドル高い実売価格が続出している事例も、市場構造の歪みを示している。
こうした状況が続けば、消費者の間でAMD製GPUや中古市場への関心が高まり、NVIDIAブランドへの信頼性にも影響が及ぶ可能性がある。ミドルレンジ市場での遅延は、単なる製品供給の遅れではなく、価格戦略・競合動向・ユーザー行動の三位一体における連鎖的な変化を招き得る事象といえるだろう。
Source:Windows Central