AI検索スタートアップのPerplexityが、企業評価額180億ドルで最大10億ドルの資金調達に向けた初期交渉を行っているとBloombergが報じた。年間経常収益1億ドル規模に到達した同社は、2024年12月時点の評価額90億ドルから倍増という異例の上昇を示している。
背景には、AnthropicのClaudeによる検索機能統合や、GoogleによるAI検索エンジン「AIモード」の限定公開など、AI検索分野の競争激化があるとみられる。Perplexityは既に法人向け製品やエージェント型ブラウザ「Comet」の展開を進めており、資金調達はその拡張戦略の一環と考えられる。
なお、報道を受けてTechCrunchは同社に確認を求めているが、現時点でコメントは得られていない。
企業価値は1年で10倍に Perplexityの急成長が示す生成AI検索の地殻変動

Perplexityは2024年4月時点で評価額10億ドルに過ぎなかったが、同年12月には90億ドル、そして今回の資金調達交渉では180億ドルに達する可能性が報じられている。
1年足らずで企業価値を10倍に押し上げたこの急成長は、従来の検索モデルを根底から揺るがす技術革新への注目の高まりを反映しているとみられる。年間経常収益(ARR)が既に1億ドルに到達している点も、投資家の評価を下支えする要因であろう。
現在、生成AI技術を活用した検索分野は、大手とスタートアップの両者が火花を散らす戦場となっている。GoogleがAIモードの初期バージョンをクローズドでリリースし、AnthropicがClaudeに検索機能を組み込んだことは、その競争が既に次のステージへ突入していることを示している。
こうした市場構造の変化の中で、Perplexityは検索エンジンとしての立ち位置だけでなく、情報アクセスそのものの再定義に挑んでいると考えられる。
法人向け戦略と製品の多層化が映す中長期的な布石
Perplexityは検索機能の一般消費者向け展開にとどまらず、法人市場への進出にも積極的である。最近では、社内ドキュメントからの情報抽出を可能にするAI検索エンジンの提供を開始したほか、「Comet」と呼ばれるブラウザベースのエージェント的ソリューションのローンチも予告されている。これらの取り組みは、単なる検索体験の最適化にとどまらず、情報操作と業務効率の再設計を視野に入れた動きといえる。
また、生成AIの応用範囲が検索にとどまらず、ナレッジマネジメントや社内コミュニケーション支援など多岐にわたることを考えれば、Perplexityの法人向け展開は中長期的な布石と位置付けられる。
大規模な資金調達が実現すれば、開発体制の強化や人材の確保に直結し、今後のプロダクト展開において他社に先行する可能性もある。ただし、既存プレイヤーによる包囲網も想定され、成長の持続性は今後の技術的優位と市場浸透力に左右される。
Source:TechCrunch