株式市場の回復が待たれる中、Klarnaの上場準備が次なるフィンテックIPOブームの号砲となる可能性が高まっている。Crunchbaseは独自ツールを用い、IPO基準を満たす注目スタートアップ12社を選出。その筆頭は、915億ドルの評価額を誇るStripeと、非公開でのIPO申請が報じられたChimeである。

このほか、CircleやRipple、MoonPayといった暗号資産関連企業も含まれ、既に数億ドル規模の資金調達実績を持つ。さらにAirwallex(豪州)、Xendit(インドネシア)、Mynt(フィリピン)など米国外の企業もリストに並び、フィンテック上場の地理的広がりも顕著となっている。

2021年以降、目立ったIPOが乏しい中、2025年はこの停滞期を打破する年となる可能性がある。ただし、市場環境の不透明さも残るため、各社が最適なタイミングを見極める動きが注視される。

米国勢が牽引するフィンテックIPOの本命 StripeとChimeの動向に市場が注目

IPO候補として筆頭に挙げられるのが、米国拠点のStripeとChimeである。StripeはシリーズIラウンドで65億ドルを調達し、非公開ながらも915億ドルという評価額に達した。加えて、現職および元従業員の株式買収を目的としたテンダーオファーを実施しており、資本市場との接続性を強める姿勢を見せた。

一方のChimeは、これまでに23億ドルを調達し、無料の銀行口座提供を軸とするデジタルバンクとして成長。IPOに向けた非公開申請を行ったとの報道もあり、具体的な上場準備が進行中とみられる。

Stripeはこれまで繰り返しIPOの可能性が取り沙汰されながらも、十分な資金調達力により上場を回避してきた経緯がある。そのため、今回の動きも単なる資本政策の一環に過ぎない可能性があるが、市場が同社の流動性確保に過敏に反応するのは当然である。

Chimeに関しては、伝統的金融機関との競争力を高めるにはIPOによる資金確保と信用向上が不可欠との見方も強く、2025年の上場実現に向けて外的環境との駆け引きが続くと考えられる。

地理的多様性が広がる候補企業 アジア勢と暗号資産関連スタートアップの存在感

今回のCrunchbaseによるリストでは、米国外の企業が全体の約半数を占めている。とりわけ、オーストラリアのAirwallexは9億ドル以上を調達し、グローバルな決済プラットフォームの提供を通じて多国籍展開を加速している。

アジアでは、インドネシアのXenditやAkulaku Group、さらにフィリピンのMyntが存在感を示す。これらの企業は各国のローカルな金融ニーズを捉え、スマートフォン主導の決済インフラを構築している点で共通しており、成長余地の大きさが評価されている。

暗号資産領域では、USDCを発行するCircle、ブロックチェーン企業のRipple、暗号決済を手がけるMoonPayといったユニコーンが名を連ねる。特にCircleは本社移転など事業構造の整理を進め、IPOへの布石と見られる動きを活発化させている。

これらの企業は規制環境が不透明な中でも成長を遂げており、伝統的な金融スタートアップとは異なるリスクテイク姿勢が顕著である。地理的にも業態的にも多様化するフィンテックIPO候補は、今後の市場動向に新たな軸をもたらすといえる。

市場環境とIPO機運の微妙な関係 2025年が転換点となる条件

2021年から2022年前半にかけて活況を呈したフィンテックIPOは、その後のテック株下落と金利上昇の影響で失速した。以降、公開市場への新規参入は減少傾向にあり、投資家の選別は一段と厳しさを増している。

とはいえ、現在のIPO候補企業の多くは、既に複数回の資金調達を完了し、評価額も数十億ドル規模に達していることから、資本市場における信頼性は一定水準にある。2025年は、そうした企業群にとって再挑戦の年として期待がかかる。

ただし、現時点では市場環境が理想的とは言い難く、特に米国のテック株が不安定な値動きを見せていることが心理的な重しとなっている。また、IPOのタイミングは政治的・経済的な要因にも左右されるため、企業側が慎重な姿勢を崩さないのも無理はない。

それでも、上場によって従業員の株式流動性を確保し、成長資金を得ることは長期的な競争力を高めるうえで避けて通れない。環境が完全に整う時期は来ないとすれば、2025年は妥協のうえでの最善の選択肢となる可能性がある。

Source:Crunchbase News