Google Pixelシリーズにおいて、最近のAndroidアップデート後にGPU性能が大幅に改善されたとの報告が相次いでいる。Pixel 7aではGeekbench 6のスコアが62%向上、Pixel 8とPixel 9もそれぞれ30%超の伸びを記録。これはAndroid 16ベータ版だけでなく、最新のAndroid 15安定版でも確認されており、アップデートに含まれる新しいGPUドライバが影響している可能性が高い。
Androidアップデートで見えたPixelのGPU進化 Vulkan APIで最大62%向上

Android 15および16ベータ版への更新により、Google PixelのGPU性能が大幅に引き上げられた。とりわけ注目されているのがGeekbench 6のGPUテストにおける数値で、Pixel 7aでは従来比で62%、Pixel 8とPixel 9でも30%超のスコア向上が報告されている。特にVulkan APIのテスト項目での改善が顕著であり、Reddit上では多くのユーザーが驚きを共有している。
この向上は一部のモデルやベータ版に限られたものではなく、Tensor G1〜G4を搭載するすべてのPixel機種にわたって確認されている。Pixel 6aでも、Android 15の安定版アップデート後に約23%のスコア向上が見られ、Pixel 9 Proを上回る結果となった。これは、ベンチマークスコアが初期出荷時のドライバ性能を基にしていたため、新ドライバ導入による差異が数値に如実に表れているものと考えられる。
ベンチマーク結果の改善は、ゲームや画像処理といった日常的な高負荷タスクへの対応力を底上げする可能性を示唆するが、アプリ側がVulkan APIに対応していなければ恩恵は限定的となる。とはいえ、これまで「ハイエンドに届かない」とされてきたPixelのGPU性能が、アップデートによって新たな評価軸を得つつあるのは確かだ。
新ドライバの導入が鍵か 2024年リリース版で加速するGPU最適化
性能向上の背景にあるのは、GoogleがAndroidアップデートに組み込んだ新しいGPUドライバの存在である。PixelシリーズはすべてArm製Mali GPUを搭載しており、これに対応するドライバが定期的に更新されている。たとえば、Tensor G1〜G3向けのr48p0は2024年2月、G4用のr47p0は2023年12月にそれぞれリリースされており、Android 15以降のアップデートに含まれている。
さらに、Android 15 QPR1ではr49p0、QPR2ではr51p0が搭載予定で、Android 16ベータ3にはr52p0が組み込まれていることから、Googleは段階的にGPU最適化を進めていると見られる。これにより、リリース後もPixel端末のグラフィック処理性能を引き上げる余地があることが示された。ベンチマークの数字だけでなく、アプリの体感速度や負荷のかかる処理時の安定性向上にもつながる可能性がある。
ただし、これらのドライバは一部機能にしか影響を与えない可能性もあり、実際の恩恵はアプリ側の設計や最適化に左右される。とはいえ、購入後に性能が伸びる可能性がある点は、長期利用を前提とした端末選びの観点でも無視できない要素だろう。今後もソフトウェア更新による進化が期待されるだけに、Pixelのポテンシャルはまだ見限れない。
実利用にどう影響するのか スコア向上と体感性能は必ずしも一致しない
ベンチマークテストで記録されるGPUスコアの向上は、処理能力が上がったことを数値として可視化する手段のひとつではあるが、それがすべてのアプリやゲームで体感的に「速くなった」と感じられるかどうかは別問題である。特に今回のGeekbench 6のGPUテストは、Vulkan APIを活用した処理に限定されているため、これに対応していないアプリでは変化が現れにくい。
また、実世界の利用環境では、処理の複雑さ、メモリの使い方、アプリの最適化状態などが性能に大きく影響する。GPUドライバの更新で得られる性能向上が、すべての状況において恩恵をもたらすとは限らない。Pixel 6aがPixel 9 Proをスコア上で超えた例も、その条件における一時的な特性を示すもので、実際の動作全般を上回るとは言えない。
ただし、日常的なタスクや重めのアプリでこれまで負荷を感じていた場面において、体感レベルでの滑らかさや応答性が改善される可能性はある。こうした違いは、長期使用における満足度やアプリの選択にも影響を与えるため、今後のドライバアップデートの動向と実利用でのフィードバックには注視する必要がある。
Source:Android Authority