Googleの新型スマートフォン「Pixel 9a」は、上位モデル譲りのIP68等級に対応しており、最大1.5メートルの水深で30分間の水没にも耐える設計となっている。これにより、日常的な水しぶきや雨、うっかりした水没といったトラブルにも一定の安心感がある。

ただし、海水やプール、シャワーなど強い水流や特殊な液体との接触は推奨されておらず、防水性能の劣化リスクにも注意が必要。また、Googleの保証が水による故障をカバーしていない点も見逃せない。

IP68の防水仕様がもたらす実用性と限界

Pixel 9aはIP68等級の防水・防塵性能を備えており、これは最大1.5メートルの水深で最大30分間の水没に耐えうる仕様である。この規格は、日常生活における突然の雨やキッチン周辺での水しぶき、さらに誤って洗面台に落とすようなトラブルに対して強い耐性を持つことを意味する。また、IP68の「6」は完全な防塵性を、「8」は一定の水没耐性を示す数値であり、日々の取り扱いにおける安心材料となる。

一方で、Google自身が公式に長時間の水中利用を推奨していない点は見逃せない。特に、シャワーのような高圧の水流や、プール、海水浴といった環境下では、浸水リスクが高まる可能性がある。IP68等級とはいえ、防水性能は永続的ではなく、経年劣化や衝撃などで密閉性が低下することも考えられる。保証の対象外となる水没故障を避けるには、無理な使い方を控える意識が必要となる。

この仕様は“完全防水”ではないが、生活の中でスマートフォンを安心して扱える範囲を広げてくれる設計であるといえる。ただし、IP等級の限界を正しく理解しないまま使い続けることは、結果的にデバイスの寿命を縮めるリスクを招くため、慎重な取り扱いが求められる。

防水性能に甘えず正しく扱うためのポイント

Pixel 9aの防水性能を長く維持するためには、日常的な使用方法にも注意が必要だ。まず、高圧の水流に直接晒す行為は避けるべきで、シャワーや蛇口の水などが筐体に勢いよく当たる状況は想定外の使い方にあたる。また、海水やプールの水には塩分や塩素が含まれており、密閉部分にダメージを与える恐れがある。水に濡れた後は、柔らかい布で素早く拭き取ること、そして完全に乾いてから充電するのが基本となる。

さらに重要なのは、「保証が水濡れによる故障をカバーしていない」という事実である。IP68等級の表示があっても、実際に故障が起きた場合にメーカーが無償対応するとは限らない。このギャップは見落とされがちだが、トラブル時の負担を考えると非常に大きい。また、防水性能を“試す”目的で水中に沈めるといった行為は、想定以上の負荷をかけてしまい、予期せぬ損傷に繋がる可能性もある。

デバイスに備わった防水性能は、万が一の保険としてありがたい存在であるが、信頼しすぎて使い方を誤れば逆効果となる。Pixel 9aの設計思想に応じた使い方を心がけることで、その性能をより長く活かすことができるだろう。

Source:Digital Trends