2025年3月11日から提供が始まったWindows 10のセキュリティ更新プログラムKB5053606が、一部環境で深刻な不具合を引き起こしている。アップデートの自動適用による再起動や、ユーザー設定の無視に加え、プリンタースプーラーの障害やシステムの動作不良も確認されている。

中にはインストール自体に失敗し、0x80070020エラーや起動中のフリーズが発生するケースも報告されている。特に法人利用者の間では、印刷機能の停止やアプリのクラッシュといった実務に支障をきたす事例が目立つ状況である。

今回のアップデートは新機能を伴わない小規模修正のはずだが、影響は広範囲に及んでおり、Microsoftが自動アップデート制御を一時的に上回る措置を講じた可能性も否定できない。

自動更新が設定を無視して強制適用 一部では勝手な再起動も発生

Windows 10 KB5053606の提供開始は2025年3月11日。セキュリティ上の重要性が理由とされるこの更新プログラムは、多くのPCに自動で配信されている。だがReddit上では、更新を一時停止していたはずの環境にまでKB5053606が強制的にインストールされたとの声が相次いでいる。特に、ユーザーの許可なく更新が適用され、作業中のPCが再起動されたという事例は深刻で、クリティカルなマシンへの影響も無視できない。

MicrosoftはかつてからWindows Updateの柔軟性について改善を重ねてきたが、今回のように設定を無視する動作が発生すると信頼性に疑問符がつく。しかもこのアップデートは新機能の導入を伴わない小規模な修正であり、本来なら利用者の判断に委ねるのが妥当である。セキュリティ向上の名目で意図せず強制される仕様に不満を抱くのは自然な流れであり、PCを日常的に使用する立場からすれば、予期しない再起動は単なる不具合以上のストレス要因といえる。

インストール失敗やフリーズ報告続出 エラーコード「0x80070020」の実態

KB5053606の適用に関連して、インストール時の不具合も数多く報告されている。代表的なものが「0x80070020」エラーで、これによりインストールが途中で中断されるケースが目立つ。Windows Latestが確認した事例では、更新処理中にロゴ画面でPCが停止し、読み込みサークルすら表示されず数時間が経過したという報告もある。処理にかかる時間も通常より長く、マイナーアップデートとは思えない異常な挙動が目立っている。

そもそもKB5053606は機能追加のないセキュリティ修正であり、インストール処理が複雑化する理由は見当たらない。それにもかかわらず、エラー発生やフリーズが頻発するという点に違和感を覚える。万一この更新が正常に適用されない場合、Microsoft Update Catalogから手動でダウンロードしてインストールする、あるいはWindows Media Creation Toolを使ってインプレースアップグレードを行うという回避策もある。ただし、一般の利用者にとっては決して簡単とはいえず、現実的な対応策が限られている点が課題である。

プリンターやデスクトップ設定にも影響 一部環境で顕著な不安定化

KB5053606をインストールした一部の環境では、プリンタースプーラーの異常やデスクトップ設定のリセットといった予期せぬ問題が確認されている。具体的には、プリンタースプーラーがクラッシュしたり、印刷処理が極端に遅くなったりする現象が発生。また、再起動後にユーザープロファイルが正常に読み込まれず、Citrix環境でのパススルー動作が失敗するケースもReddit上で共有されている。

これらの現象はいずれも、業務用途やリモート環境でWindows 10を活用しているユーザーにとって重大な障害となりうる。また、デスクトップの背景画像やアイコン配置が初期化されたという報告もあり、個人環境でも混乱を招く要素は多い。さらに、キーボードの入力遅延や全体的な動作のもたつきといったパフォーマンス低下も複数確認されており、更新によってシステムの快適性が損なわれている状況だ。Windows 10の安定性に依存するユーザーほど、このアップデートによる影響を慎重に見極める必要があるだろう。

Source:Windows Latest