米国防総省が総額5億8,000万ドルの契約および助成金を廃止したと発表した。IT大手Gartnerとの3,000万ドル契約も対象となり、これを受けて同社の株価は8%下落し415.36ドルに落ち込んだ。
今回の措置は、予算超過が深刻なHRソフト開発プロジェクトや、海軍の脱炭素化、AIの公平性確保などの助成金にも及び、納税資金を戦闘部隊の優先課題へ振り向ける意図があるとされる。
政府効率省と連携した一連の削減策により、過去数週間で累計8億ドルの無駄支出が見直されており、今後も同様の動きが続く可能性がある。
Gartnerとマッキンゼーに及んだ契約打ち切りの余波

国防総省が今回削除を決定した契約の中で、特に注目されたのがGartnerおよびマッキンゼーとの総額3,000万ドルの契約破棄である。IT調達支援や未使用ライセンス管理などを目的としていたが、成果や有効性の検証が不十分と判断された。ガートナーの株価は発表直後に約8%下落し、木曜の終値は415.36ドルまで落ち込んだ。投資家の反応は、同社が国防関連の中核的契約を失ったことによる中長期的な収益見通しの悪化を懸念したものであろう。
国防長官ピート・ヘグセス氏は、こうした契約は「戦闘員の現場ニーズ」に直結しないと指摘し、資金の再配分を宣言した。Gartnerのようなコンサルティング大手が軍事戦略にどこまで寄与していたのか、その貢献度の可視化が問われていたとも言える。契約打ち切りは、官民連携の在り方に対する再評価を促す契機となる可能性もある。コンサル企業に依存した業務運営の見直しは、今後他省庁にも波及する展開が想定される。
HRソフトの予算780%超過が示す組織的課題
中でも象徴的だったのは、当初3,600万ドルの予算で計画されていたHRソフトウェアプロジェクトが、8年間で2億8,000万ドルにまで膨らんでいたという事実である。実に予算比で780%の超過であり、しかも成果は得られていないという。ヘグセス氏はこれを「即時廃止」とし、失敗プロジェクトの典型例と位置づけた。この案件は、プロジェクト管理と予算統制の欠如が引き起こす官僚的失策の縮図である。
また、このような大幅なコスト膨張は、内部監査や評価プロセスの機能不全をも露呈させている。特にHR分野のソフトウェア導入は、人的資源の最適化を図るべき施策でありながら、逆に巨額な資源浪費につながった点は看過できない。プロジェクトの実行責任、契約の透明性、進捗管理の指標化など、制度的な見直しが急務といえる。支出の正当性が説明できない限り、外部との契約はリスクと見なされやすい構造となる。
多様性・AI関連助成金の再評価と軍事方針の変化
国防総省は今回、BIPOC研究者向けの支援金5,200万ドルや、公平なAIおよび機械学習開発のための大学助成金900万ドルなど、多様性・倫理志向の研究投資にもメスを入れた。さらに、海軍艦艇の脱炭素化に関する600万ドルのプロジェクトも打ち切られている。ヘグセス氏はこれらを「戦闘に資する投資とは言い難い」とし、政策の優先順位を明確に再構築した。
ただし、こうした分野は長期的には軍の技術革新や国際的信頼構築に寄与し得る側面もある。特にAI倫理や多様性の促進は、現代の軍事研究の一端として無視できない。今回の削減は、即効性や実戦配備を重視する短期的視点に基づいており、中長期的な研究開発とのバランスが問われる場面でもある。軍の機能性と社会的価値との接点をどのように見直すかが、今後の資金配分の焦点になるだろう。
Source:Wall Street Pit