テスラ株が1.28%下落し232.84ドルとなる中、パイパー・サンドラーは目標株価を450ドルに引き下げつつも現在水準を「割安」と評価した。ロボットやAIを除いたキャッシュフロー分析でも300ドル超の価値が見込まれている。
一方カントール・フィッツジェラルドは格付けを「オーバーウェイト」に引き上げ、425ドルを提示。FSDの展開やロボタクシー計画、Optimusなどの新技術が成長を牽引すると予測している。規制面ではカリフォルニア州がロボタクシーに初期承認を付与。依然課題は残るが、自律走行とエネルギー革命を巡るテスラの戦略は市場から注視され続けている。
テスラに対する二社の評価が示す市場の分断

パイパー・サンドラーは、テスラの目標株価を従来の500ドルから450ドルに引き下げた。理由は2025年の納車見通しに対する慎重な修正であり、これは工場停止やModel Yの切り替えに起因するとされる。ただし同社はロボティクスやAIを除外した割引キャッシュフロー評価においても株価は依然として過小評価と見ており、234ドル前後の水準を「魅力的な買い場」と位置づけている。
一方でカントール・フィッツジェラルドは評価を「ニュートラル」から「オーバーウェイト」に引き上げ、目標株価を425ドルに設定した。45%下落した年初来の値動きを割安と判断し、完全自動運転(FSD)の展開、OptimusボットやSemiトラックの投入といった将来的成長ドライバーを根拠に強気姿勢を明示している。
このように、両社の見解はいずれも楽観的でありながら、評価の焦点には差異がある。パイパーは既存の事業基盤を重視し、カントールは新技術の収益化に比重を置いている。市場はテスラの現在地を「調整局面」と見る向きもあるが、こうした評価の二極化は、成長と不確実性の共存という同社の特性を如実に物語っている。
ロボタクシー承認が示すテスラの規制突破力
カリフォルニア州がテスラのロボタクシーサービスに初期承認を与えたことは、同社にとって大きな転機となりうる。完全自動運転への信頼性、法規制の整備、社会受容性といった多面的なハードルが存在するなかで、行政による一定の承認はその先駆的立場を裏付ける材料といえる。ただし、本格運用にはさらなる規制クリアが不可欠であり、2025年6月の稼働開始までには複雑な検証プロセスが続く見通しである。
この進展は、単なる事業拡大ではなく、輸送インフラのパラダイムシフトを意味する可能性を秘める。テスラは既に自動車製造企業の枠を超え、交通とエネルギーの両面で統合的変革を志向してきた。ロボタクシーはその集大成の一端ともいえるが、運用実績と安全性、そして収益化のスキーム構築が今後の焦点となる。
現時点では承認自体の経済的インパクトは限定的だが、投資家の期待感は着実Wall Street Pitに醸成されつつある。行政の判断が市場の信認を得た格好であり、これが他州や国際的な規制緩和の連鎖を呼び込めるかどうかは、今後の政策動向とテスラの運用実績次第といえるだろう。
Source:Wall Street Pit