EVメーカーLucid Motors(NASDAQ: LCID)の株価が、3月13日から20日までの1週間で19.21%上昇し、取引量も3月18日に1億7500万株と5か月ぶりの高水準を記録した。
生産実績がガイダンスを上回った2月の発表や、モルガン・スタンレーとBenchmarkによる目標株価引き上げが投資家心理に影響を与えたと見られる。一方で、CEOの電撃退任や高水準の空売り比率、財務への懸念も根強く、上昇が一時的な反応にとどまる可能性も指摘されている。
株価急騰と取引量急増の背景にある複合的要因

Lucid Motorsの株価は、3月13日から20日の短期間で19.21%上昇し、同時に3月18日の出来高が1億7500万株に達するなど、注目すべき市場の動きを示した。背景には、2月に発表された2024年第4四半期の生産・納車実績が同社のガイダンスを初めて上回ったという事実がある。これは2022年以降で初の成果であり、市場関係者にとっては予想外のポジティブサプライズとなった。
この発表以降、目立ったのが機関投資家や短期筋による取引の活発化である。特に2.16ドル〜2.35ドルの価格帯における需要の高さは、短期的な底値として意識された可能性がある。Benchmarkは3月12日に目標株価を5ドルに設定し、モルガン・スタンレーも「アンダーウェイト」から「イコールウェイト」に格上げしている。こうしたアナリスト評価の変化は、一定の強気材料として市場に作用した。
一方、これらの要素がすべて長期的成長への確証とは言えず、株価の急変動が一時的な需給の歪みによるものである可能性も残る。AIによる価格予測も含め、3ドルという水準は依然として不安定な前提の上に立っており、需給の変化には継続的な注視が必要である。
CEO退任と財務懸念が投資家心理に与える影響
Lucid MotorsのCEOであるピーター・ローリンソンが、2024年度第4四半期および通期決算発表の場で突然の退任を発表したことは、市場に対して一定の動揺を与えた。この発表は2月25日に行われたもので、同社の生産実績が好転し始めた矢先での人事だったことから、投資家にとっては予期せぬ不確実性の要因となった。EV市場の競争が激化する中、経営トップの交代は戦略の軸が変化するリスクを含む。
また、Lucidは依然として財務面での課題を抱えている。サウジアラビアの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」からの継続的な資金援助を受けているにもかかわらず、アナリストらは2025年にかけて限定的な上昇しか見込んでいない。これは、同社が構造的な収益性の確保に苦しんでいる現状を反映している。加えて、現在のショートボリューム比率は53.54%と高水準であり、依然として売り圧力が強いことを示唆している。
経営の不安定さと財務の持続性に対する疑念は、Lucidの株価に対する長期的な投資判断に慎重な姿勢を促している。今回の株価上昇は一時的な材料に反応した側面が強く、今後の継続的な上昇には企業体質そのものの改善が不可欠となる。
Source:Finbold